Tips:エリオルリータ女王陛下の憂鬱

○月×日

 中庭で日向ぼっこをしていると、いつもサボってばかりの家臣が珍しく忙しそうに働いていたので、呼び止めてなにがあったのか訊ねてみた。

 曰く、私がお忍びで出かけるからその準備をしているとのことだ。

 惑わすのも悪いと思って適当に話を合わせておいたが、本当にそんな予定はない。もしかすると、サプライズでお出かけのチャンスをくれるのかもしれない。

 最近事務仕事ばかりで息が詰まっていたところだ。忠臣たちの心遣いに感謝。


○月△日

 騙された。

 ネタバラシが待ちきれなくてメライアにお忍びについて訊ねたら、申し訳なさそうに「ギルバート農園にガサ入れをするためのダミー情報なんです……」と言っていた。不意をつくための作戦らしい。

メライアはいい人なのだが、こういうところがある。普段は本当に優しいのに、たまに冷酷なカードの切り方をするのだ。人の心を理解しているからこそ、弄び方が巧い。多分詐欺師に向いているんじゃないだろうか。


○月○日

 ダメ元で本当のお忍びを提案してみたが、城内の動きが不穏らしく断られてしまった。

 そのうえ今度は大衆演説をダミー情報として流させて欲しいとのことだ。メライアがどうしても必要だと言うので承認したが、悔しい。久しぶりに国民の顔を直に見たかった。

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