名を明かさぬ謎の天使
あの奇妙な出会いから、すでに1週間が経っていた。
どこからきたか聞くと、名前も聞いたことがないような星の名前を言う。
よほど辺境から来たようだ。
波動の調整もせず、動きまわろうとする。
危なくて、とても目を離すわけにはゆかなかった。
監視する必要もあり、謎の天使は、地球でルシファーとヨハネが暮らす家の居候となった。
空から落ちてきた 謎の天使は、 やることなすことすべてが変わっていた。
無礼なのか、 無礼でないのか、 測りかねるようなところがあった。
まず名前だ。
謎の天使は、自分の本当の名前を 決して明かそうとは しなかった。
「僕は今、休暇中なんだ。休暇中に、本当の名前は言えない。 仕事のことは忘れたいんだ」
「そうだな、その気持ちはわかる。 わたしも休職中なので、昔の肩書きでは呼ばれたくない。 せっかく自由になったのだから、ゆっくり休みたい。それなのに、お前が侵入してきただけで 、このありさまだ」
「おじさん」
「おじさんはやめろ! おじさん呼ばわりされるほど、わたしは 年をとっていない!」
謎の天使は首をかしげながら、
「いいよ、僕はかまわないけど…、だけどおじさん何歳?」
と言いながら、何か不思議なヨガのようなポーズをとってみせた。
「そのポーズはなんなんだ?!」とルシファーが云うと、
「僕さァ、こう見えても踊りの名手なんだよ。踊りの練習。
休暇が終わったら、大舞台が僕を待ってるんだ。やっぱり間違ったら、悪いからね。僕のせいで運命が変わってしまったら悪いだろ」
変なことをいう奴だとルシファーは思ったが、口には出さなかった。
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