エピローグ(1)


『ドッキリ大成功』のカンバン。申し訳なさそうな柿谷の表情。申し訳なさそうなメンバーの顔。


ナニガ……


ナニガオコッテイルノダロウカ。


「はい!はいはいはいはいーーーーーー」


そう言いながら乱入してきたのは元相方の古谷。


「な、なんでお前が」


「はい、ここで事情をわかっていない凪坂46公式お兄ちゃんの新谷君と視聴者の方々に説明していきましょう。まずは、この方に出てきて頂きましょう……どうぞ!」


「あっ、どうも」


その紹介で出てきたのは、篠田康生。


「な……なんで……」


もうなにがなんだかわからない。


「えっとですね、篠田さんは今回のドッキリの仕掛け人でございます。今回の企画は『ミタリング✖️凪坂ってナギナギ』コラボレーション企画。『公式お兄ちゃんはどこまで凪坂46のメンバーを想っているか検証』の企画でーす」


「……いや、いやいやいや」


それは苦しいだろう古谷。


「あれ……元相方の新谷さんなにか釈然とされてませんね?」


「それは無理だって」


いくらなんでも、そんな。


「なにが無理なんですか?」


「いや、だって盗られちゃってるし」


「盗られちゃってますね」


「というか実際に見ちゃってるし」


「見ちゃってますなー」


「そもそも載っちゃってるし」


「載っちゃったんですねー」


「……おい」


この完全なアリバイはもう崩れないだろう。


もはや、無理ゲーだろう。


「まあ、論より証拠です。視聴者の懐疑的な方々にもどうぞ見ていただきましょう……VTRスタート!」


古谷のその掛け声に、映像が流れ始める。



『遡ること1ヶ月前。都内某所のスタジオで、凪坂46のメンバーは会議をしていた』


な、ナレーション。


「はーい、みんな聞いて。今から新谷さんにかけるドッキリを考えまーす」


『凪坂46のメンバーは熱い……ほとばしるマグマのように熱い会議を繰り広げた』


「突然ビンタするー」「キレて殴るー」「カンチョーするー」「文句を言うー」「これはエイプリルフールだって言って殴るー」「エイプリルフールだって言うー」


く……くだらねぇ。


『ほとばしる公式お兄ちゃんへの熱い想い。彼女たちは次々と熱い意見を交わし合う』


……どうでもいいけどナレーションが熱苦し過ぎる。


「でもさー。新谷さんって本当に私たちのこと好きなのかなー」


『ここで、キャプテンの本田がふとつぶやく』


「「「……」」」


『誰も答える者はいない。公式お兄ちゃんからの愛情に飢えているメンバーたち。そう……彼女たちは愛に飢えていたのだ』


「あっ、私いい考えがありますよー」


『ここで、会議に参加していた手を挙げる。彼女は、お笑い芸人の新谷のKマネージャー(一般人なので顔にはモザイクをかけております)』


こ、木葉……貴様。


「こんなんどうですかね?ロケ以外のところで、衝撃的なシーンを見てしまったときにどんな反応をするか」


「それ……いいですね」「さすが、あの新谷さんをここまで押し上げただけありますね」「敏腕マネージャー」「名案」「可愛い」「縁の下の力持ち」「マネージャーの鏡」


『その意見に彼女たちは……満場一致だった』


……もはや、テメーらの企画じゃなくなってるだろうが。


「随分と面白い企画を考えついたんだね。僕も混ぜてくれないかな?」


『そのとき。テレビ界の寵児、梨元さんが入ってきた』


「僕がその企画をプロデュースしよう。みんな、これは本気でやろう。失敗は許されない。本番のような状況で臨んでくれ」


「「「「はい!」」」」


『彼女たちの決意は……固まった』





















続く……のか?

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