エピローグ(1)
『ドッキリ大成功』のカンバン。申し訳なさそうな柿谷の表情。申し訳なさそうなメンバーの顔。
ナニガ……
ナニガオコッテイルノダロウカ。
「はい!はいはいはいはいーーーーーー」
そう言いながら乱入してきたのは元相方の古谷。
「な、なんでお前が」
「はい、ここで事情をわかっていない凪坂46公式お兄ちゃんの新谷君と視聴者の方々に説明していきましょう。まずは、この方に出てきて頂きましょう……どうぞ!」
「あっ、どうも」
その紹介で出てきたのは、篠田康生。
「な……なんで……」
もうなにがなんだかわからない。
「えっとですね、篠田さんは今回のドッキリの仕掛け人でございます。今回の企画は『ミタリング✖️凪坂ってナギナギ』コラボレーション企画。『公式お兄ちゃんはどこまで凪坂46のメンバーを想っているか検証』の企画でーす」
「……いや、いやいやいや」
それは苦しいだろう古谷。
「あれ……元相方の新谷さんなにか釈然とされてませんね?」
「それは無理だって」
いくらなんでも、そんな。
「なにが無理なんですか?」
「いや、だって盗られちゃってるし」
「盗られちゃってますね」
「というか実際に見ちゃってるし」
「見ちゃってますなー」
「そもそも載っちゃってるし」
「載っちゃったんですねー」
「……おい」
この完全なアリバイはもう崩れないだろう。
もはや、無理ゲーだろう。
「まあ、論より証拠です。視聴者の懐疑的な方々にもどうぞ見ていただきましょう……VTRスタート!」
古谷のその掛け声に、映像が流れ始める。
*
『遡ること1ヶ月前。都内某所のスタジオで、凪坂46のメンバーは会議をしていた』
な、ナレーション。
「はーい、みんな聞いて。今から新谷さんにかけるドッキリを考えまーす」
『凪坂46のメンバーは熱い……ほとばしるマグマのように熱い会議を繰り広げた』
「突然ビンタするー」「キレて殴るー」「カンチョーするー」「文句を言うー」「これはエイプリルフールだって言って殴るー」「エイプリルフールだって言うー」
く……くだらねぇ。
『ほとばしる公式お兄ちゃんへの熱い想い。彼女たちは次々と熱い意見を交わし合う』
……どうでもいいけどナレーションが熱苦し過ぎる。
「でもさー。新谷さんって本当に私たちのこと好きなのかなー」
『ここで、キャプテンの本田がふとつぶやく』
「「「……」」」
『誰も答える者はいない。公式お兄ちゃんからの愛情に飢えているメンバーたち。そう……彼女たちは愛に飢えていたのだ』
「あっ、私いい考えがありますよー」
『ここで、会議に参加していた手を挙げる。彼女は、お笑い芸人の新谷のKマネージャー(一般人なので顔にはモザイクをかけております)』
こ、木葉……貴様。
「こんなんどうですかね?ロケ以外のところで、衝撃的なシーンを見てしまったときにどんな反応をするか」
「それ……いいですね」「さすが、あの新谷さんをここまで押し上げただけありますね」「敏腕マネージャー」「名案」「可愛い」「縁の下の力持ち」「マネージャーの鏡」
『その意見に彼女たちは……満場一致だった』
……もはや、テメーらの企画じゃなくなってるだろうが。
「随分と面白い企画を考えついたんだね。僕も混ぜてくれないかな?」
『そのとき。テレビ界の寵児、梨元さんが入ってきた』
「僕がその企画をプロデュースしよう。みんな、これは本気でやろう。失敗は許されない。本番のような状況で臨んでくれ」
「「「「はい!」」」」
『彼女たちの決意は……固まった』
続く……のか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます