収録


「さあ、凪坂ってナギナギー。今晩は生放送スペシャルー! このタイミングで生放送をやる一つ……視聴率。そんな貪欲な彼女たちはこちらだっ!」


「「「「……」」」」


「こ、声を出せ声を!」


「「「「……いぇー」」」」


「ちゅ、中途半端な声は不要だバカ娘ども……さて、今日の企画はこれだ! もし、無人島で一生過ごさないといけないとして。ひとつだけ、なにかひとつだけなんでも持って行っていいと言われました。さて、あなたはなにを持って行きますか?」


「はい!」


「どうした柿谷!」


「カメラです!」


「それはダメだな!」


「なんでですか!?」


「運営サイドでNGがかかる!」


「私がスキャンダルまみれだからですか!?」


「そうだよ!」


「くっ……暴挙」


「お前がな!」


 とにかく大変だったよテメーのせいで。


「はい!」


「なんだ、本田」


「柿谷を持ってきます!」


「おっ……仲良いもんなお前ら」


「……もう二度と撮られないように」


「そっちの意味は割とデリケートにいかないか!?」


「はい!」


「どうした柿谷?」


「私はものじゃありません!」


「そこじゃなくて、とりあえず謝っとけ!」


「はい! ごめんなさい!」


「誠意が感じられない! 『このたびは』的なことをとりあえずやっておけ!」


「形式だけ整えれば謝罪になるんですか!?」


「少なくともその決して悪びれてないハキハキとした気持ちのいい『ごめんなさい』よりはな!」


「そんなの……世間に迎合した悪習じゃないですか!?」


「難しい言葉を使って論点をズラそうとするな!」


 テメーは過ちを犯したんだから、過ち犯してますって顔をしていろ。


「はい!」


「おっ、オダママ。思い浮かんだか?」


「戻らない時間……」


「お前ら無人島の設定をガン無視するな!?」


 そもそも、いくらなんでも、イジリ過ぎだろう。


「はい!」


「なんだ海原?」


「一生住むということは、ヤッパリ好きな人がいいです。ねー、柿谷」


「お前らとにかくすげー嫌なやつだな!」


 メチャクチャイジるやん!? 


 お前ら、メチャクチャイジるやん!?


「影でコソコソやられるよりマシです!」


「いや、めっちゃ怒ってんだなよし、柿谷テメー謝っておけ」


「はい! ごめんなさい!」


「よし、とりあえずその声張った無駄にハキハキとした謝罪やめとけ!」


 というか、お前全然反省をしてないな!


 そんな中、スタッフがカンペを出してきた。


『梨元プロデューサーから伝言です。今すぐ撮影をやめろ! とのことでした』


「フッ……それなら答えは決まってる」


『はい! 全ての責任は新谷さんが取ると言っておきました!』


          ・・・


「それは勝手に言うなーーーーーーーーーー!?」


 仮に万が一それ言うつもりだったとしても、それカッコつけて俺がいうやつ!


『そしたら、うんわかったって言ってました!』


 ふ、ふざけんじゃねぇよ。


 そんなに着々と人の進退を決めてるんじゃねえよ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る