第22話

ハイウェイを走ること、丸一日。


到着したのは、何もない荒野。


適当な場所にバイクを寄せ、床に落ちている鎖を手に取り、引っ張っていく。


すると、鎖に繋がれた鉄板がズレて、地下へと続く階段が現れた。


何を隠そう、ここに私ら死神の本部がある。


ウォーリーを抱え、その階段を降りると、真っ白い部屋。


指紋認証装置に手をかざし、扉を開けると、その先は空港のターミナルみたいにだだっ広い空間と、せわなく行き来する死神らが目に付く。




「久々、戻って来たな」




 一概に死神と言っても、ここでは戦闘要員はさほどおらず、むしろサポート要員が大半を占める。


中には、素芸鎌開発局なんかもあって、日々、より強力な鎌を作ろうと心血を注いでいる者もいる。


私は、その足でゲッコウの元へと向かった。


ゲッコウは、地下2階のオフィスにいるハズだ。


エレベーターを使い、通路を通ってオフィス内へと入ると、デスクワーク中のゲッコウを発見した。




「ゲッコウ!」




「……カンナか」




「地上がやべーぞ。 シンゲツとクロサキがやられた。 レモンも危ねぇ」




 現状を説明すると、周りにいた奴らも、ザワつき始めた。




「死神を総動員しねーと、収集がつかなくなるぞ」




「……いや、既に手遅れだ」




 ゲッコウは、パソコンのモニターを私の方に向けてきた。




「何だ、こりゃ?」




 イーストシティの地図が映し出されているが、赤い点が蕁麻疹みたく広がっている。




「これは、俺が作ったモンスターの居場所を特定するソフトで、赤い点の一つ一つがガーゴイルだ」




 ……は?




「ウソ、だろ……」




 だとしたら、とんでもない数のガーゴイルが、既に街中に放たれたってことか。




「少なくとも、100匹以上。 死神を総動員した所で、どうにもならない」




「じゃあ、どうしたらいいんだよ!」




 思わず、机に拳を叩きつける。


このまま、ウイルスみたくガーゴイルが増殖を続けたら……




「お前が手早くガーゴイルをコントロールしなかったから、こうなったんだ!」




 ゲッコウの怒号に、周囲が凍り付く。


ゲッコウに当たるのは、お門違いだ。


私が麻雀なんかに夢中になってたから、初動が遅れた。


全部、私のせいだ。


そして、最悪の事態になりかけている。




「……すんません」




「……」




 私は、黙って部屋を出た。

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