第14話

ガアン、という音。


レモンを狙った鎌が、途中で止まった。




「ああん?」




「び、ビックリした……」




 レモンは尻餅をついている。


一体、誰だ?




「強い奴を相手にする時は、協力して倒せばいい」




「てめぇ、クロサキ!」




 影から姿を現したのは、死神のクロサキ。


こいつも、レモンやシンゲツと同じ、アンチ・私派の一人だ。


影の中を自由に移動できる素芸鎌を持つ。




「せっかく一人で倒そうと思ったのに……」




「俺がいなかったら死んでただろ」




 暗闇の中で戦うのは分が悪い。


通りに出て、街灯の下に移動すれば、クロサキは奇襲を仕掛けることが出来ない。




「レモン、街灯を全部切り落とせ」




「はいはい、了解」




 ……狙い、見透かされてるし!


レモンは、酸の刃を飛ばして、街灯を切り落としていく。


一応それ、この街の所有物なんすけど。


とか、暢気に思っている場合じゃない。


辺りは闇夜に包まれ、月明かりが微かに周りを照らすのみ。


どこからクロサキが襲って来るか、分からない。




「さくっと、仕留めますか」




 街灯を処理したレモンが、酸の刃を飛ばして来る。


私がかわす体制に入ると、予測不能な方向から鎌が飛んできて、頭に突き刺さる。




「いでっ」




 そのせいで、かわすタイミングが狂い、酸が肩にもろにかかる。




「あづあっ」




 体が溶け、肩の骨がむき出しになる。


くっそ、マジでやべぇ。


続けてたら、やられる。




「……」




 その時、ウォーリーの顔が浮かんだ。


無邪気に、ミルクを飲んでる時の顔だ。




「ミルク、やらなきゃ、いけねんだよ……」




 あいつは、まだ自分でミルクも飲めねんだ。


私が死んだら、誰が面倒、見るんだよ!




「うらああああーーーっ」




 私は、自分の浴衣を脱ぎ捨て、全裸になった。




「……は?」




 二人が一瞬、私に釘付けになる。




「かかったな!」 




 その隙に、鎌を振り子みたく揺らして、催眠状態に陥れた。










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