白樺 しらかばの樹

青砥 瞳

白樺 しらかば


先日の散歩道


いつもより風が冷たい



四季の植物が植えられてる小道を通る


本当に狭いスペースで



しだれ桜が小さな薄いピンク色の花をつけていた


残念ながら


ポツンポツンと花が咲いてるからか


花の重みでしだれてはいなかった



きっと春には


「重くて折れたりしない?」


と心配しながら


美しい桜を見るだろう



ビワは実がすぎていてもいい頃なのに


わからない位の小粒が「実」になるのかしら



椿も山茶花さざんかも咲いていた


にてるようで違う花たちだ


なるほど、私にも違いがわかって


ウキウキした


   *** ***


白樺・・・


この樹は私の中で特別なものだ


一度しか「ソコ」に行ったことはない


何年か前に知り合いの人とコラボをした場所



小さな湖に


風で小波がたち



でも、白樺の樹たちはがっしりしていた



3月の終わりのコラボで少々肌寒い


だけど私はノースリーブで



光に満ちたその場所で


樹から樹へと走りまわり


手をかけて体重をまかせて


顔は空に向けることもあった



あの時には、すでに自分の人生が変わることを


予感していた



それでも笑っていた


シルクシフォンのスカートは軽やかで


風がおさまっても


ヒラヒラと


まるで衣が小波のように



子供のようにはしゃいで動き


寒さはどこかにいってしまっていた気がする



   *** ***



ああ、この道


私の密かな楽しみの道



柿の葉がオレンジ色と緑色をして


まるで秋色


冬の花も咲いている


しだれ桜のように温かさのために


間違って咲いた春の花も可愛らしい



知らない植物の説明書きがあり


写真を撮ったのだけれど


「また来ればいいから」


と名前を覚えてない


いや、覚えようとしていない



何度も足を運んで自然に覚えちゃおう


そんないいわけ



素敵な樹のある


私の散歩道



ほんの小さなスペース


人工的な植えでも構わない


誰もいなかったら近づいて


香りをかいでみたい


そっと触って樹の声を聞いてみたい



私はここを歩くのが好きだ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白樺 しらかばの樹 青砥 瞳 @teresita

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ