サイゼリアにて執筆中、赤ワインをこぼす。

四十雀

白と黒と赤の関係性

 



 白い男が流した赤い血がカーテンを真っ赤に染めた。そうして初めて気がついた

のだ。自分が何者なのかを。異なる色、異なる他者、を前にして初めて浮かび上が

るものが、鋭利な刃物となって突き刺さる。


「私は白なのか...?」


「やっと気づいたか」


振り向くと黒い男が立っていた。そう言うと黒い男は冷蔵庫から赤ワインを取り出して飲み始めた。


「俺は初めから"黒"だ。決して何色にも染まらない。白が黒になることはあってもその逆はない」


「そう言う考え方もあるかもしれないな」


そう言うと白い男は、自らを投げ出すかのように無防備な姿勢をみせた。


「私は君を拒絶するつもりはない」


黒い男は不信感を露わにしてにらみつける。


「...どういうつもりだ?」


「君が考えるように、私は自分のことが分からない。しかし、他人のことは理解し受入れられる。自分のことのように」


そうして白い男は黒い男に歩み寄り抱きしめた。


その刹那、黒い男は、手に持った刃を白い男の腹部を目掛けて突き出そうとした―



2018.12.3(月)22:17 "真っ白な紙に黒いボールペンで記す"

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サイゼリアにて執筆中、赤ワインをこぼす。 四十雀 @japanesetit

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