第27話 『666』

『「我は獣なり、挑戦者たちよ獣の痛みを知れ」

                       ダンジョンに潜む獣たちの怒り』


「諸君、時は来た!!!」


魔階島 ダンジョン 第?階層


その深き闇に紛れながらも向かい合う六人の挑戦者たち。


その内の一人が声高々にそう言い放った。


怪しげな彼らは闇よりも黒いコートに身を包み、その顔を深く、そして暗く覆い隠している。


「たく、随分と時間が掛かったんじゃねぇか?」


その内の一人がそう不満を洩らす。


「何事にも時間が必要よ。力だけで挑む者はただの愚か者」


また他の一人がそう呟く。


「ケケッ!そんでぇ、あんたの連れの調子はもういいのかいぃ?」


また他の一人が怪しく笑いながら問い掛ける。


「あぁ、あいつの魂も掌握でき始めている。もう作戦に支障はない」


また他の一人がその場にいる皆に聞こえるようにそう答える。


「なら、安心。そうじゃない、隊長?」


そして、最後の一人が最初の一人に向かってそう言い話を戻す。


「隊長?おい、ちょっと待てや!いつからこいつが俺たちの”長”になったんだ!!」


だが、その言葉が何やら気に食わないのか、気性の荒い一人がドンと足を踏み鳴らすと、そこに大きな亀裂が生じ、彼らの居る階層がぐらりと揺れる。


「落ち着け、彼は便宜上そう言ったまでだ。そもそも、我々に”長”はいない」


最初の一人が言い宥めると、辺りは再び静けさを取り戻し、常闇に戻る。


「それでは諸君、我ら『666ジクス』の”狩り”を始めよう!!」


「「「我は獣なり、挑戦者たちよ獣の痛みを知れ」」」


その場にいた六人の挑戦者たちが一同にそう叫ぶ。


それと同時にその場に居合わせた幾多ものモンスターたちの咆哮が大きく轟く。


ここは魔階島のダンジョン奥深く。


その深き場所にて、今、モンスターたちによる進撃が始まる。


それは神々すら知らぬ、獣たちの怒り。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る