第7話 出発前

飯田線


長野県辰野駅から出発して静岡県内陸部を通り、愛知県豊橋駅を結ぶ全長195.7kmの長大なローカル線。

7時間弱かかる。


逆もあるが、ここはもう辰野から行ったほうがいいだろう。

最近の車両は、乗り心地がいい。

313系だったか・・・


特急も使えば、時間短縮が出来る。


「かえで、特急に乗るか?」

「お兄ちゃん、鈍行に乗るから、旅の意味があるんだよ」

通だな・・・かなりコアなファンだ。


「でも、それなら日帰りは無理だぞ」

「大丈夫。宿泊するから」


言い忘れたが、俺たちは愛知県に住んでいる。

なので、まず逆ルートで辰野まで行き、そこで宿泊して、

戻ってくるそうだ。


「でも、赤の他人の男女が一緒に泊まるのはまずいだろ?」

「大丈夫。親戚がいるから」

何も言えなかった。


ひょっとして、何かを企んでないか?

この一家・・・


「で、いつ行く。夏休みに入ってすぐか?混むと思うぞ」

「夏休みといっても、お盆以外が大丈夫だと思うよ」

「わかった、任せる」


そして、旅行をすることになった。

かえでの両親には、正直に伝えた。


初対面だが思った。

「カエルの子はカエルだ」と・・・


後日、「その言葉は、平凡な人に言うんだよ」と指摘された。

確かに平凡ではないな・・・

この一家・・・

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