[番外編]君に捧ぐ物語


 ねぇ、独りきり

 悲しまないで


 貴方が私を知らずとも

 私は貴方を知ってるの



 蒼天に溶け入る

 宝石みたいにきらめく身体

 風を切り裂く

 翼の音色は歌のよう


 いつからか

 聞こえなくなった

 その風の歌





 めぐり過ぎゆく時の中

 やがて記憶は化石になるけど


 語り継がれた想い出は

 いつしか

 歌い継がれる物語になる



 だから、お願い

 孤独の内に泣かないで


 貴方が私を知らなくとも

 私は貴方を忘れない





 風よ、どうか

 届けてください

 光に香る花のような

 優しい祈りを

 かのひとへ


 そしてどうか

 導いて


 大地に生きる私では

 辿れぬ空のみち

 世界を駆ける風になら

 探すことが出来るでしょう?





 ねぇ、瞳をあげて

 私を見て?



 貴方に、逢いに来たの







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