残滓


十年越しの君との逢瀬は、


年に見合わない安ホテルで、


情欲だけの時を過ごし、


終わってからは、笑い話にもならない顛末。


あの頃は良かったね、なんて言い合って、老け込むのをやめられなかった。


二度と御免な、陰気で白々しい夜。


若き日の二人の、残滓。




(2018年 10月 13日 作詩)



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