ネットにはいない

顔を見たことない人が死んだ

声を聴いたことない人が死んだ

ただ字を送りあってた仲だったけど

いざ死んだってなると変な気持ちになる


そりゃ家族が恋人が友人が死んだよりも

悲しみなんてはるかに薄いんだけれども


真実か確認できないからなのか

またどうせネタなんだろうだとか

信じるか信じてないかの狭間で

ずっとその人のことを考えてた



何日かすればそんな薄いものも消えて

人が死んでない軽い事件なんかに

芸能人の不祥事を起こしたなんかに

行けないレストランの情報なんかに

どうでもいい情報なんかにかき消されて

ふと時たまに死んだ彼を思い出す



依然として彼は止まったままで

本当に死んだかどうかも分からないで

彼の周辺なんかを調べたりして

ずっとその人のことを考えてた



何日かしてまた彼を思い出した

彼はその程度の存在なんだなと

その日もずっとその人のことを考えながら思った

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