世間の身勝手さに辟易している「私」と、まだ幼さの残る従弟の「霹」
将軍の忘れ形見として期待されたり、落胆されたりしてきても、自分は自分、縛られて生きたくはない。
諦念、もしくは悟りというべきか。
そして、残された従弟の境遇に共感し、いたわり、同族として守ろうとする思い。
だが。
共にあると信じる「私」と「霹」の心情の微妙なズレが、1頭の仔馬を挟んで浮き彫りになる。
やはり、この作品は長編の導入部であってほしい。
絆が勝る話になるのか、はやまた、この小さなズレが、やがて、亀裂となってゆくのか……。
期待を込めて、星一つ分取っておきます。