第18話 里帰りをやめた理由

 紆余曲折を経て取りやめにした里帰りの話の続きです。


 市立病院に転院してすぐの頃は、

「婦人科の先生に紹介してもらって評判良いところみたいだからこのままこの病院で産もうかな〜。だからお母さん、子供が産まれたら2週間くらい手伝いに来てくれない?」

 そんなことを母に電話で言いました。しかし、

「あんた出産よりも子供産んでからの方が大変なんだからね!? どんな子か産まれてみないとわからないけど、夜中ずっと泣いてる子だったらあんたろくに眠れないかもしれないんだから。田舎に帰って実家で産んだ方がお世話も長くできるから帰ってきなさい」

 と、母は言います。同じようなことを姉にも言われました。

 そうです産んだ後の事を私は全然考えて無かったんです。そうかそうか産んだ後眠れないのは大変だと里帰りを決意します。


 そして里帰りに向けて母と話を詰めていくのですが、その中で不安に思うことがいくつか出てきました。


 まず、実家から病院まで車で約50分という距離。うちの実家が引くほど山奥にあるのでこのくらいの距離なのは当たり前なんですけども、私ペーパードライバーなので運転できず妊婦健診の時は毎回母に病院までの送迎をお願いするのです。もちろん母は働いているので、もし母が仕事の時はタクシーで行きます。しかし実家は引くほど山の奥。タクシー呼んで家の前まで来てもらうのに4.50分はかかるのです。病院に行くまで2時程度かかるわけで。遠いのは仕方ないにしてもタクシー代めちゃかかるな……。そして陣痛が来て、病院に行かなきゃ! という時も同じくらいかかるわけで……。タクシー待ってる間に、または病院に向かってる途中で破水したりなんかあったらどうしましょ、と不安に思いました。

 もう一つはうちの犬のことです。何度か行ったことがある場所とはいえ、慣れない家に1匹ポツンと置かれてストレスで具合でも悪くなったら連れて行ける動物病院が無いのです。病院がないわけじゃないんですが、犬のために親を振り回すことになってしまうかもしれない。

 今考えると杞憂だったかも、と思います。人が好きな犬なので、1週間くらいなら私がいなくても親がいればウキウキのびのびしていただろうな……と。


 産んだ後の方が大変なんだってことは出産経験のある母が言うのだからその通りなのですが、いかんせんこれから初めて出産を経験する私は、「そもそも不安のない状態で無事に産みたい」の気持ちの方が勝ってしまいました。

 里帰りせず市立病院で産むなら電車とバスを使って妊婦健診に通うことができますし、いざとなったらお産タクシーを使って病院に行けます。

 ちなみに、お産タクシーというのは、陣痛が来た時に優先的にタクシーを配車して病院まで運んでくれるタクシー会社のサービスです。事前に自分の家の住所や送迎してほしい病院を登録しておいて、陣痛が来た時には電話一本するだけでタクシーが家の前まで来て病院まで運んでくれると言うものです。どんなサービスかはタクシー会社によるので、気になる方は自分の街にお産タクシーのサービスがあるタクシー会社を調べてみてください。

 そして里帰りしない場合、うちの犬はかかりつけの動物病院に預けて行きます。子犬の頃から通っていて、犬はその病院の先生や看護師さんに懐いています。というか何なら私ら飼い主よりも嬉しそうなので、長期間預けるには何の問題もなく……。そんなわけで結局里帰りはせずに市立病院で産んだのでした。


 先のことはわかりませんがもし次があるのなら、その時は里帰り出産を経験してみたいと思っています。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る