第13話 出生前診断

 お久しぶりです。すっかり間が空いてしまいました。


 ここ最近、離乳食に振り回されております。この間は10倍粥を製氷皿に取り分けて満足して冷凍せずにそのまま寝てしまいました。朝起きて脱力しました。はぁあ〜やってもうた〜。お昼に全部自分で食べて、その日の夜もう一度作りました。

 仕方がないので市販のベビーフードのお粥をあげたところ、普段の手作りの離乳食よりもよく食べた気がします 笑

 とほほ〜と思う気持ちもありますが、食べてくれるだけありがたいのです。



 では、前回の続きです。



 出生前診断のことは、とある雑誌の特集記事で知りました。


 その記事を読んで、出生前診断を受けるつもりでいました。とにかく、「受けなくちゃ」と、思っていました。


 私の通っていた病院は、出生前診断を受けるよう進められることはありませんが希望すれば受けられるところでした。何回目かの健診の時に出生前診断を希望する旨を先生に伝えると、まず診断をする前にカウンセリングを受けてもらってますとのこと。必ず夫婦でカウンセリングに来て下さいねと説明を受け、2週間後に予約しました。


 夫は出生前診断について特別やりたいという希望はなく、私がやりたいのなら、というスタンスでした。


 カウンセリングを予約した後、診断を受けなくちゃ、という自分の気持ちが揺らいできました。診断を受けた結果、もしもお腹の赤ちゃんに先天性の疾患があったとしたらどうしたいのか、何も考えていなかったからです。自分がどうして不安なのか、そもそも受ける必要があるのか、自分の考えがわからなくなってきました。



 疾患があると事前にわかったとして、自分にこの子を育てられるのか。もしも子供に愛情を持てなかったらどうしよう。現実を受け入れられず、子供を虐待してしまったらどうしよう。


 では、中絶するのか?


 エコー写真を見ながら、お腹をさすります。

 中絶したいとは思わない。やっと授かった赤ちゃんをそんなに簡単に中絶するなんてできない。かといって、1人で育てられる自信がない。両親に助けてもらえるのか? 実家が遠いしそれはできない。夫は毎日帰りが遅いから、きっとワンオペ育児になるだろう。そもそも、夫や周りの人たちの考えも聞いていない。自分1人の感情だけで産む産まないを決められない。


 そもそも、そうしたことが無かったとしても子供は私のお腹の中で無事に育ってくれないかもしれない。そして産まれてからも、私に子供を育てることができるのだろうか。ちゃんと母親になれるのだろうか。イライラしたりして、やっぱり子供を虐待したりしてしまったら?


 そんな考えが頭の中でループします。

 その頃、ちょうど小さな子供が親からの虐待で亡くなってしまったというニュースが朝も夜も流れており、自分もテレビの向こう側のようになってしまうかもしれない。と、不安にもなったのでした。



 夫と話し合いました。夫は確か、授かった命だから、家族として迎えてあげたいと言っていたと思います。

 夫以外の家族にも出生前診断の話をしました。受けた方がいい、受けなくてもいい、それぞれ意見をもらいました。


 そして結果的に、出生前診断は受けませんでした。


 カウンセリング前に夫と話して受けないと決めたのですが、当日に先生と話して自分がどうして不安になっているのかもわかって気持ちが楽になったからです。


 自然妊娠じゃなかったから、元気に育ってくれているか自信がない。


 先生の前で初めて出た、自分でも気づかなかった本音でした。

 疾患がどうとか、そういう事が心配なんじゃなくて、ただ自分のお腹の中で元気に育てられるのか……。という事が不安だったのでした。とほほ。自分に自信がなかっただけでした〜!


 直近のエコー写真を見てもらって大丈夫だよーと言ってもらえて改めて安心しました。

 縁あって自分達を選んで来てくれた赤ちゃんだから、きっとお腹の中で元気に育ってくれるね!と、そんな風にカウンセリングを終えて病院から自宅に帰りました。


 出生前診断は受けませんでしたが、カウンセリングを受けることで夫婦の考えや自分の気持ちを整理できました。親になること、母になることの嬉しさだけじゃなく、現実を知って、覚悟を持って実感したのはこの時だったと思います。後の妊婦生活を安心して、楽しんで過ごすことに繋がったなぁと思っています。

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