第75話 過去へ

地球が誕生してから、45億年の年月が経った。

どうやって調べたのか、わからない。


でもそれを、1年に換算した場合、人類が誕生したのは大晦日の夜と訊く。

そうなると、人類はわずか数時間の間に、飛躍的な進歩を遂げ、

そして、衰えて行った・・・


一度、衰えたものは、元に戻らない。


人類は生活を豊かにさせた。

でも、代償も大きい。


「お兄ちゃん」

「どうした?かすみ」

「今度の日曜日なんだけどね」

「ああ」

「お父さんが来るんだ」

「豊さんが?急だな・・・でも、なぜ?」

「過去の地球を見ておきたいんだって」

それはわかるが、この時代でなくても・・・


「もちろん、少し前から見るつもりだよ」

「いつから?」

「あまり昔だと、適応できないから、1989年ごろからだって」

平成の始まった時か・・・


平成に入ってから、飛躍的な進歩をしたからな・・・

当時は、ネットや携帯電話が普及するなんて、夢にも思わなかった。


「私とお父さんじゃ、心細いから、お兄ちゃんも来てほしいんだけど」

「そりゃ、構わないが、大丈夫か?」

「うん。お金とかは、工面できるから・・・」

「そうじゃなくて・・・」

「大丈夫だよ。学習はしておくから、お兄ちゃんは、サポートして」

「わかったよ

「ありがとう。お兄ちゃん。チュッ」

何だか、照れくさい。


「お兄ちゃん、慣れないね」

「何が?」

「未だに、赤くなる。かわいいね」


かわいいといのは、女性の口癖。

いつの時代も変わらない。


まあ、悪い気はしないが・・・


そして、休日、豊さんが、やってきた。


「雅志さん、お久しぶりです」

「ご無沙汰しています。時々、テレパシーで会話していますので、そんな感じはしませんが・・・」

「ですね。よろしくお願いします」


こうして3人で、とりあえずは、1989年にむかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る