第51話 信頼

アメリカは、鉄道にはあまり力を入れていない。

国土が広すぎるためだろう。


後、時差があるのも、関係しているのかもしれない。


鉄道はあるにはあるが、料金がとても高い。


したがって移動が、バスや自動車が主である。


アスミー社に、着いた。

もっと、ばがでかいイメージがあったが、さほど大きくない。


ビルの3階のフロアだけを、使っていた。


リンに案内され、かすみと社長室に入る。

丁寧にでむかえてくれた。


「ようこそ、ミスター雅志。歓迎します。チャーリー・アスミーです」

「お招きありがとうございます。・・・日本語、お上手ですね」

「ええ、私も日本で暮らしてましたので・・・」

「そうなんですか・・・」

しかし、これからは僕も、英語を覚える必要がありそうだ。


かすみが、服の袖を引っ張る。

「あっ、こちらは、妹のかすみです。今回、ひとりじゃ心細いので・・・」

「ええ、お伺いしております。ミス・かすみ、よろしく」

かすみは、深くおじぎをした。


ここは、日本ではないが、日本で生活してたのなら、意味はわかるだろう。

ここでは、意味ないかもしれないが・・・


・・・って、かすみ、キャラが違わないか?

でも、何かをじっと見ているような・・・


「まあ、しばらくは、この国に馴染んでください。

仕事はそのあとでお願します」

「わかりました」

こうして、僕とかすみ、リンは会社を出た。


リンの運転する車で、住まいに向かう。

国際免許のようだ・・・

フランスもアメリカも、右側通行なので、大丈夫だろう。


会社が用意してくれたらしい。


(お兄ちゃん)

(どうした?)

(さっき、社長さんの、心を読んだよ)

じっと見ていたのは、そのためか・・・


(それは意識してないと出来ないけどね)

(うん)

(安心して、お兄ちゃんの事を、信頼してくれてるからね)

(わかった)

(ただ・・・)

(ただ?)

(お兄ちゃんが思っているよりも、大変になりそうだよ)

(そっか・・・)


その覚悟で来たので、問題はない。

ただこの大変というのは、公の意味ではないことを、後に知った。


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