第43話  帰国

フランスから帰国する。


リンとルイさんは、空港まで見送ってくれた。

リンは手を握り、

「A la prochaine(またね)」

といい、来た時と同じく、キスをしてくれた。


日本に到着すると、空港にはかすみが来ていた。

「Bienvenue à la maison(お帰りなさい)」

そういって、頬にキスしてくれた。


「かすみ、日本に帰ってきてまで、フランス語はいい」

「意味、わかったの?」

「ああ、何となく」


近くのレストランで食事を取る。

そんなに経っていないのに、もう長い間会ってない気がした。

「お兄ちゃん、フランスはどうだった?」

「ああ、驚いたよ」

「エヘヘ」

かすみは、笑う。


「知ってたの?」

「うん」

即答ですか・・・


「お兄ちゃん」

「うん」

「がんばろうね」

『がんばってね』ではなく、『がんばろうね。』


二人三脚ということか・・・


食事の後、タクシーを拾おうとしたが、

「お兄ちゃん、歩いて帰ろう」

「無茶言わないように」

「たまには、いいじゃない」

かすみは、腕をからませてくる。


「かすみ?」

「なあに?」

「嫌何でも・・・」

かすみは、幸せそうだ。


≪雅志さん、聞えますか?≫

≪豊さんですか?≫

≪ええ、フランスお疲れ様でした≫

≪ええ、驚きましたけど・・・≫

≪けど?何ですか?≫

≪2200年の、フランスはどうなってますか?≫

≪あなたがご覧になられた、世界と同じです。言葉以外は・・・≫

≪そうですか・・・≫

≪雅志さん≫

≪かすみの事、お願いします≫


交信が途絶えた。

また向こうから連絡があるだろう。


でも、今≪かすみをお願します≫と言われた。

地球ではなく、かすみを・・・


横をみると、かすみは寝てしまっていた。

立ったまま眠れるなんて、器用だな。


僕はタクシーを拾い帰宅した。







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