第42話 つかの間の、休暇
≪こちら、緑かすみ、父緑豊と、コンタクトを取ります≫
≪かすみ、どうだ?≫
≪お兄ちゃんは、無事にフランスに到着しました≫
≪雅志さんには、話したのか?≫
≪いえ、詳しくは話していません≫
≪そっか・・・≫
≪・・・・・≫
≪どうした?かすみ?≫
≪いえ、何でも≫
≪帰国後は、お前も大変になるが、しっかりな≫
リンが、画廊の前で、車を止める。
リンは、車のドアを開けてくれた。
画廊の前にいる初老のオーナーが、声をかけてくる。
「はじめして、ミスター雅志。私、オーナーのルイ・レオンです」
「こちらこそ、お招きにあずかりまして」
「突然の事で申し訳ありません。今回はここパリで、あなたの個展を開かせていただいております」
「先程、リンから聞いて驚いています」
僕は、早々に店の中へと案内された。
それを見て、僕はたまげた。
というか、腰を抜かした。
そこには、僕が描きとめていたイラストが、全て展示されていた。
「あのう、これは?」
「失礼ながら、あなたがネット上でアップしたイラスト、会社でのカット、
全て、展示させていただいています」
「どうして、また?」
「あのサイトは、我が社が運営しています」
どうりで・・・
「あなたの絵には、温かさと優しさがあります」
「いえ・・・そんなことは・・・」
「私の眼は、狂っておりません。どうです?これを世界平和に役立てませんか?」
「どうやってですか?」
僕の絵が、世界平和に役立つとは思えません。
「あなたの絵は、必ず人の心を動かせます」
「いえ、そんなことは・・・」
再度、繰り返す。
「大丈夫です。現にあなたの画集は、売れています」
いつの間に。、作ったんだ?
犯罪にならないか?
「承諾はいただいています」
「えっ、いつですか?」
「妹さんからです」
かすみか・・・勝手に・・・
「とりあえずは、パリを観光してください。
詳しい事は、日本に帰国後に連絡いたします」
ルイさんは、リンを見る。
リンは、コクリと頷いた。
そして、パリを観光することになった。
でも、これがつかの間の休みになるとは知らなかった。
でも、乗りたかったな、TGV.
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