第41話  ようこそフランスへ、そして、パリへ・・・

リンさんの運転する車に乗り込む。

(そういや、フランスは右側通行だったな)


車窓を眺める。

「ようこそ、フランスへ」

「今更ですか?」

「うん」

リンさんは、にこやかにほほ笑む。


「ところで、リンさん」

「何ですか?」

「フランス国籍なのに、日本人名なんですね」

「フランス名のありますよ。知りたい?」

「ええ」

「※§ΑВ・・・」

(聞きとれなかった・・・)


「どうします?」

「日本人名で・・・いいです・・・」

「じゃあ、フランクにリンと呼んでください」

「でも?」

「この国では、当たり前」

郷には行っては郷に従え・・・そうしておこう」


「で、リン、今からどこへ?」

「画廊よ」

「いきなりですか?」

「うん」

即答された。


かすみといい、リンといい、

僕の周りには、基本的に天真爛漫な子が集まる。


これも、「引き寄せの法則か?」


エッフェル塔や、凱旋門が見えるが、素通りして、画廊へと向かった。

そこには、ひとりの老紳士がいた。


「あの方は?」

「この画廊の、オーナーよ」

「オーナー?」

「あなたに、直接話がしたいらしいよ」

「でも、僕はフランス語は・・・」

「大丈夫だよ」

「その心は?」


「オーナーも日本語ぺらぺらだから・・・」


ご都合主義ですね。

でも、助かった。


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