第17話 刺激は大事

夏休みに突入した。

3年生なので、多くは受験勉強に励む。

進学する人が多い。


でも、僕はもう、決まっているようだ。


「まーくん、いい」

かすみが声をかけてきた。

「何?」

「前の話した、君にしてもらうことなんだけどね」

「うん」

何だろう・・・気になる。


「夏休みの間、日本中を旅してもらいます」

「旅?」

「そう、旅」

意外な提案だった。


「どうして?」

「クリエイターには、刺激が必要。

なので、日本中を旅して、いろんな事を吸収してもらうの」

「お金がない」

「資金面は大丈夫」

「どうして?」

まさか、父親頼りか・・・


「ペアで、日本一周一か月の旅というのが、商店街のクジで、当選するから」

「どうして、わかるの?」

「私が当選させるから」

「5つ目の力?」

「うん」

それって、いんちきじゃ


「もちろん、私も行くからね」

「えっ」

「嫌なの?」

「いや、構わないけど、さすがにまずいんじゃ」

「大丈夫。兄妹になってるから」

「6つ目の力?」

「ううん、これは違うよ」

深くは訊かないほうがいいだろう。

互いのために・・・


「この時代の、列車に乗るの楽しみなんだ」

「そうなの?」

「わくわくするね」


確か、かすみの時代は、交通手段としての、鉄道はなかった。

憧れはあるかもしれない。

でも、がっかりしなければいいが・・・


かすみと旅か・・・

刺激は抜きにして、楽しい思い出になりそうだ。

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