第82話
日を改めた日曜日、鍛冶の街の門で4人集合である。
ビアンカさんはまだ学生らしいので時間調整は融通が利くとの事
「さてと、集まったわけだし、装備作りだね、適当な鍛冶師にまずは素材を見せていくところから始めようか、別れて捜索かな」
「コージィにおおむね賛成、別れるにあたって、感知系スキルの有無を確認しよう
俺はもちろん持ってるぜ、じゃなきゃビアンカさんに気付けなかったし」
ソーヤーが言うには鍛冶の為に貴重な素材やGを持った奴がいるなら、それ狙いのスリ師もいるだろうとの事、と言っても、僕は感知系のスキル持ってないわけだが。
魔法で何か代用できそうなのも無さそうだな。
サクとビアンカさんはどっちも持っているとの事。
「なら僕だけか、サクと一緒に行動するとしようかな、構わないかな?」
「じゃあ、私もサクさんとコージィ君についていくね」
「俺一人かよ、まあいいや、そんじゃお互いいい鍛冶師に会えるといいな」
「そうだね、何かあったら、いつでも連絡してくれ、それじゃあ」
そうして、ソーヤーとは一時別行動、サクとビアンカさんと一緒に鍛冶師探しだ。
基準とかはどこにあったものか、やっぱ一番大きな店とか。いや、隠れた名店とかの方がそれっぽい? もしくは人が並んでたりとか、そんな飲食店じゃあるまいし
「コージィ、また考えすぎ、大方鍛冶師の選び方で悩んでたの?」
「おっと、またやってたか、まぁ、そんなところ、サクは何かいい案ある?」
「腕が確かで時間が空いてる人ってなると、早々見つからないものよ、地道に探すしかないわ、ビアンカさんは鍛冶師とかご存じないですか、武器と防具を揃えてると聞きましたし、そっちに伝手とか」
「いませんよ、武器も防具もオークションで買った代物、それも遺跡の発掘品ですから、ライダースーツ結構気に入ってるんですよ、格好いいでしょう、武器は凄いですよ魔法のデリンジャーと言ってMP使って弾丸打てるんですよ、といっても射程も威力もそこまで無く、燃費も悪いので素直に弓使う方がいいでしょうね」
ライダースーツは体のラインがはっきり出て意識してしまうので、正直別のものに着替えてもらいたいとは言えないな、そして武器の方はかの有名なリンカーン暗殺のアレか盗賊にはうってつけだろうな、胸の谷間から出すのはいかがなものだが。
性能はそこまでよろしくないのか、まぁ、実際の銃と同じ性能をしてれば、弓はお払い箱も同然かおそらく他の銃器もそういった感じだろうな。
さて、どうしたものか……うん、あれは
「これは……剣か……形状は様々だな、、父が本で見せてくれたフランベルジュやファルシオンあっちはタルワールだったかな?、あ、日本刀は分かるぞ……紋を見るに虎徹か? いい趣味してるな……あっちには弓、和弓からコンポジットボウまで、ここの店主はかなりの勉強家か現職の鍛冶師かな?」
店先に誰も並んでいないが、その武器の数々は僕の目に留まった。
窓ガラス越しではあるが様々な武器が見受けられる、そのクオリティからここの店主はさぞいくらか武器に関してある程度深い知識を持つかもしくはそれらの知識を調べてそれらを作ってみようとする熱意を持つ勉強家だと思う。
「あんちゃん随分熱心に見てるね、武器をお望みかい?」
そうして窓ガラスから覗く武器の数々に見とれていたら、声を掛けられる。
どうやら店員が出てきたようだ、振り向けばそこには作業服の日焼けの女性がおり暑いのか上着は脱いで腰に巻いているいかにも鍛冶師ですって感じだ。
金髪に茶色の目と異国風味な容姿。プロポーションも抜群といったもので。黒のタンクトップ一枚の薄着姿はその女性の一部をことさらに主張していた。
意識している事を感づかれないように極めて冷静にクールにだ、僕なら出来る。
「これは失礼、その通りですお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「おお、よろしいですよ、でもその前に、後ろの嬢ちゃんが口開けてぽかんとしちゃってるよ、お仲間さんだろ」
「私はサクっていいます、こんにちは、また例の悪癖が出てたわよコージィ」
「あ、私はビアンカです、コージィ君、さっきはブツブツ言ってて怖かったよ」
「そういうタイプね、あたしはナガソネ、武器を見に来たなら入りなよ、いい武器を見繕ってやるよ」
そういうとナガソネさんは扉を開けて僕らを店へと手招きしていく。
それに招かれてはいっていけば中には窓からは見えない位置にも剣が飾られていた
槍や斧などもいくつかある、樽に無造作に入れられてるのは棒術の棒か?
鎧や衣服は置いていないな、武器オンリーか、杖は少しだけみたいだな。
「さてと、置いてる武器を買うなら好きなだけ見てってっくれ、オーダーメイドは
応相談だよ、いくら持ってて何か素材があるなら素材の内容を聞いて決めるよ」
ふむ、と言っても決めるのはサクやビアンカさんだ、好きに見ていて貰おう。
「せっかくだしオーダーメイドお願いしてもいいですか? こっちので弓、後コージィ、例の素材出してもらえるかしら、それと出せるGは一つ30万までですね」
サクの言うとおりにオオカマキリの鎌をナガソネさんの前に出す。
「これ見ない素材だね後で調べてからだねこれは、作れるかどうかはわからない。
それとこっちはオオカマキリの鎌、そこそこ見る素材だし大丈夫だ剣を作るでいいのかな? それだったらどんな剣がお望みだい」
「剣ならなんでもですかね? というかよくわからないです、剣の種類とか」
「せっかくだし、日本刀にしよう日本刀、そこの虎徹とかどうさ、ナガソネさんの虎徹なんてそれっぽいじゃないか」
「それいろんな人に言われる、でも残念ながら日本刀は魔物素材だとうまく作れないんだよね。鉱石があるならそれだけで作れるけど、持ってる?」
「持ってないねぇ、とすると魔物相手だし、ずっと使ってる片手剣と同じ形状でいいんじゃないの? 僕的にはそこの曲刀なんかも面白そうだけど」
「少し考えてみるかな、あの、武器を使わせていただいても? 振るいやすいものを選びたいので」
「いくらでも構わないよ、好きなだけ振って頂戴な、そっちのあんちゃんと嬢ちゃんはどうする?」
「お構い無くー、見てるだけで楽しいので」
「僕は魔法使いなので武器は使わないんですよね、この通り、杖を使うんですよ」
「へぇ、杖なら杖で、そこのとかどうさ、不意を衝くにはうってつけだ、魔法もちゃあんと使えるよ」
「なるほどそういった代物だったか……折角だし頂きましょうかね、いい加減、初期武器はやめなさいと言われてしまいましたからね、一ついただきます」
そういって手に取ったのはソードステッキ、イギリス18世紀生まれの由緒正しき
暗器武器、まぁ、僕が持つにはただのアクセサリーだけど当時もそうだから使い方としては間違っちゃいないな、うん。
「……決めた! これにするわ、ナガソネさんこれと同じ形状にして下さい、これが一番振っててしっくりきました!」
数十分してようやく持ってきたのはいままで使っていた片手剣よりか少し長いくらいだろうか。柄部分に工夫がなされている手を守るためのガードがついてるのか。
「ブロードソードかいいのを選んだね、それじゃこれをモデルにオオカマキリの鎌で武器を作るよ、難しい注文もないしGは20万でいいや。弓の方は調べるからウォレス時間で今から一日貰うよ、ちょっと閉店看板かけてくる」
そういうとナガソネさんはいそいそと閉店の看板を下げてしまう、そんなあっさり占めて大丈夫なのか? 儲けとか大丈夫なのだろうか?
兎にも角にも、これでサクの武器については用立ててもらえるだろう。
ソーヤーと一度合流するとするか。
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