第59話

 お昼ご飯を食べ終わり再びのログインをすれば、すぐにサクから連絡が入る。

この前の喫茶店で待っているとの事なので、すぐに向かう事に。

そうして向かえば、既にサクは待っており、僕を見つけすぐに手招きする。


「お待たせ、サク」

「いいえ、さっきログインしたばっかよ」


 それだけ挨拶をかわすと、二つ珈琲が運ばれる、前もって注文してたのだろう。

それを少しすする、コーヒーのいい香りを目一杯、いいやこの場合鼻一杯だろう、した後に一口すすればほどよ酸味が頭を冴えさせてくれる。


「さてと、どれだけかしら?」

「何がどれだけなんだい?」

「とぼけないの、転売の儲けよどれだけ出たのか聞いてるの」

「ああ、僕ね、今の所持金44万」

「うんうん、そんなものよね……って、44万なんてどうやって!?」

「プレイヤーの畑に交渉してね、転売の情報とそれを手伝って儲けたのさ」

「あんた何やってんのよ! 折角の情報を話したって言うの! 掲示板を見たけど、この情報は掲示板に意図的に流してないからまだ最近王都に来たとかいた人しか知らない情報よ、それをぽんと何言ってるのよ!」

「ん~、多分だけど明日明後日には値段の高騰も落ち着くんじゃないかなセルカンドに既にミドルクランだったかな、中規模のギルドが野菜を買い付けに来てた、勘のいいプレイヤーなら気づくだろうし、そもそもがそういったクランが活動し始めるのは今日の朝にも言った通り、これ以上は博打にしかならないよ」

「うぐぐ……どこが動いているとかわからないの? 買い付けようとしたとこみたんでしょ、だれだったとか」

「うーん、姫騎士みたいな衣装で絢姫って呼ばれてた、前にサクが言ってた絢姫ご本人と『絢姫を守り隊』かな?」

「よりにもよって、あそこかぁ……大丈夫? 変に突っかかれなかった?」

「おや、心配してくれるの?」

「別に、あんたが面倒ごと起こしてsearcherに目をつけられて私も痛い目みたくないってだけよ」

「さいですか、大丈夫、波風立てずに穏便に済んだよ、さてと、僕の収支報告や話したい事はいったんおいておいて、そっちは?」

「ああ、私ね、サファードのどこの野菜売りも売り切れてたわ、だから、村を回ることにした、私には馬もあるわけだしね、結果は成功と言ってもいいわね、現在の私の所持金は25万、15万の儲けね、お金があれば更にいけると思うわ」

「えっと現在のsearcherの総資産は79万Gか……」

「今日はまだ高値で売れる可能性は残ってるはずよ、市場を覗いてもうひと頑張りするか決めましょう」

「そうだね、まあ、今日が潮時、明日からは手を引いた方が僕はいいと思うな」

「それで構わないわ、さすがにこんな商売で稼ぐのも飽き飽きするしね」


 再び、露天商や行商人を見るべく、市場を回っていると、久々の顔を見つけるのだった。しかし、それは僕が話しかけるよりも早くこちらに近づいてきた。


「お、いつぞやの魔法使いジャン、元気してたジャン」

「やぁ、軍師殿、久しぶり」

「確か、伏龍鳳雛だったかしら、あの時以来ね」

「久しぶりジャン、二人とも無事王都にこれたジャン、おめでとうジャン」


 かつて、僕と共闘した経緯がありゲーム内での友人の一人、特徴的な語尾と

伏龍鳳雛などと言う欲張りな名前そして、ゴシック調の服装が特徴的な女性だ。

自らを僕と称する姿にたがわず、神は短めで中性的な顔立ちをしている。


「軍師殿は今まで何を?」

「んー、暇つぶしジャン、もしくは仕官先を探してるジャン」

「仕官先、加入するクランの事かしらね」

「そう、それジャン、ゆるい雰囲気でノルマとかない感じの所がいいジャン、基本的にいろんなところふらふらしたいジャン」


 確かにログイン時間とかが合わないと距離は離れるだろうから、そこらへんが似通った者同士で集まるのが常なのだろう、こういったゲームでは。


「僕らはチームだしねぇ、クランを作れるほどの人数は集まってない」

「そうねぇ、伏龍がいいってんなら、チームだけど、うちに入ってみる?」

「サク、彼女はクランにはいr……「え、良いんジャン! 入るジャン!」」


 即決であった、ええ~


「決定ね、さっそくチームへの勧誘を行いなさい」

「了解、それじゃ、よろしくね、軍師殿、でも本当によかったの?」

「よろしくジャン大将、これから僕の策は大将の物ジャン、別にいいジャン、大将はきっといずれは大物になりそうな気がするジャン、あ、でも基本的に僕は自由行動させてもらうジャン、力がいる時は連絡欲しいジャン」


 あの一戦でも、活躍してくれたし、心強い味方と言えるだろう、それにいろんなところへふらふらしてると言っていた、一人で戦える力量はあるという事だ。

実際にチームへの加入条件としてもある程度の自由行動を認める事だし。

まあ、いざという時は頼らせてもらう事にしよう


「さっそくだけど、今、僕たちは転売をしていてね、軍師殿にも手伝ってもらうよ、ここんとこ王都の高騰の噂は耳に?」

「ばっちりジャン、既に『絢姫を守り隊』『もりもり商会』『株式会社まっしろ』が動いてるってのもね、今後も更に増えると思うじゃん」

「一つは知ってたけど、もう三つも動いてるのかぁ」

「小規模クランも上げたらもっとジャン、何処に買い付けに行くジャン」

「サファード周辺かな、サクさんはさっきもいった所に転移、軍師殿はサファード周辺の村や町に転移は?」

「出来るジャン、それと僕にはちょっと多めにGを渡して欲しいジャン、損はさせないジャン」

「わかったよ、じゃあ、僕とサクに20、残りは軍師殿に任せるよ。それじゃ各自、行動開始」


 合礼をした後に僕はすぐにサファードに転移、サクも一緒だったが、軍師殿は一緒ではなかった、わざわざ、お金を多めに欲しいと言って来たんだ、何かあるのだろう、期待させてもらおう、サクはすぐに馬をだして街を出て出発する、西側、川の上流に向かったか、僕はじゃあ東側、ほとんど森の下流側、あまり期待はしないでのんびりいこうか。


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