第52話

 山道を進んでいれば日が暮れ始めてくる。やっぱ一日じゃ無理だったか。


「そろそろキャンプの準備を始めたほうがいいと思うんだけど。どうかな」


 僕が三人にそう聞けば。賛成多数でキャンプの準備を始める。

今後の予定を聞けば。全員またお昼にログインして進むという事になった。

おじいさんとカーレッジに見張りをしてもらい。僕とサクがキャンプを設営。料理はねるさんが作るとの事なので。僕らの食材を分けてそれで作ってもらう事に。


「ここまでは順調ね。折り返し地点はすぐそこかしら」

「どうかな。ベンガルトラは見たけど。情報にあったモブリンや猛禽を見ていないから油断はできないね」

「心配性ねぇ。あのおじいさんの力は本物よ。私なんかよりもよっぽど剣術スキルが上。それに武器も店売りのじゃないと思うわよあれは。おじいさんがいる限りは大抵の魔物はおじいさんに任せれば楽勝よ。」

「ぱっと見で博物館で見たきりだから自信ないけど、あれ日本刀の虎徹を模してるんだと思う。実用性に優れた江戸時代でも優秀な刀の一つ。まあだからこそおじいさんに任せてれば楽勝だとは思うけどさ。」

「へぇ。王都にはそんな凄い武器を作る鍛冶師がいるって事かしら?」

「多分だけど作ったのはプレイヤー。ここまで武器屋はいくらか除いたけど一本も日本刀は無かった。この世界に日本刀を作る技術は浸透していないと思う。だとしたらプレイヤーがいちから日本刀の作製技術を調べて。作成したんだと思う」

「そんなプレイヤーがいる? 日本刀の作り方なんてそう簡単に調べられるの?」

「今の情報社会、ネットで調べればいくらでも概要や簡単な説明くらいなら出てくると思うよ。そうじゃなくてももしかしたら現役鍛冶師がプレイしてるとかなら。可能性はゼロじゃあない」

「プレイヤーの運動能力や技術力による優劣はこのゲーム無いのだけれど。知識や知恵といった部分の優劣はどうしようも無いわね、どこか開きが出てしまうわ。」


 そんな雑談をしながらキャンプの設営は終了。ねるさんの御飯も完成したようだ。

今日の夕飯は野菜と肉団子のスープだった。商品にするには品質の低い物を使っているというが十分においしい。野菜の甘みがスープにしっかり溶け込み優しい味を生み出している。肉団子も味がしっかりしておりジューシーだ。


「そういえば。おじいさんは遺跡の探索とかはしたりしないので?」


 おじいさんも探索者それも相当の実力者だ。遺跡を見つけたり探索をしたりするのが探索者なのだから。遺跡の一つや二つ攻略しているかもしれない


「私は狩り専門でね。探索はした事がないね。それに探索系のスキルはそこまで伸ばしてないし。戦う以外に能がないわけだからお呼ばれもされてない。ましてや。じいさんだからね。若いのは若いので集まるのが気楽でいいらしい」

「なるほど……では僕らで手が出せないような敵がいるような遺跡を探索する機会がありましたら誘わせていただいても? その剣の腕は非常に頼れますから」

「それは是非とも呼んでもらいたいね。最近は魔物との戦いもマンネリでね」

「植物との戦いもベンガルトラとの戦いでも素晴らしい剣技でしたね。その刀はどちらで手に入れたもので?」

「ああ。日本刀を作る人がいてね。溜め込んだお金をつぎ込んで買ってしまったんだよ。それからは気に入られてね。フレンドになってそこの人に頼まれて素材集めとかもしてるんだよ。日本刀に興味あるなら紹介しようか?」

「やっぱりそうでしたか。僕は杖を使ってますので。サクはどうだい? 日本刀とか中々見栄えがいいと思うけど」

「う~ん、私はいいわ、せっかくなら遺跡から発掘したネームドとか魔法剣が使いたいわね。どっかで手に入れれないかしら」

「ネームドに魔法剣ですか? なんですそれ?」

「僕は前にも聞いたことあるね。昔の名工が作った武器。浪漫があるね。でも魔法剣ってのは初耳だ。それは一体?」


 ねるさんはどちらにも僕は魔法剣という言葉は初耳なので聞きなおすと。ネームドよりかは入手確率は高いが遺跡など限定でなんでも魔法が封じられている剣があるとの事。ちなみにそこまで強い物でなければ店売りでたまに置いてたりするらしい


「どの道。王都に行かないと話は進まないさ。そろそろ12時だし僕は先にログアウトするよ。それじゃ」


ここら辺で僕はログアウト。もうおひるが出来てる頃合いだろう







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る