第49話
僕らの前には渡辺さん。それと小泉さんと立華さんが立っていた。
立ったままだとファミレスの店員さんや周りに迷惑だし座ってもらうために僕と須々木君が田中君たちのいる方に動いてから。料理を注文してもらう事に。
「……買い物の帰りかな。それも服の、中身は夏服かな?」
「おっと。ホームズなんでそれがわかるんだい?」
僕がそう呟けば田中君はつい先日もやっていたノリを見せてくれる。
「簡単な推理だよワトソン君。そこにいるのは立華さん。先ほど原山君が言っていたが立華さんは友達と買い物と行ってたよね。」
「もしかしたら偶然そこであっただけかもだぞ」
と。原山君が言うが。それはないだろうと前置きをして話を再開。
「それなら皆一緒の買い物袋を持ってファミレスに入るという事は限りなく0に近いだろう。これくらいなら見れば分かることだ。で、買い物袋は近場の服屋の物。そしてこれから気が早いかもだが夏だしね。彼女ら三人は夏に着るようにと服を見繕ろって来たんじゃないかな?」
「さっすが。明智先生。正解だよ」
「渡辺さん。そこはせめてホームズに統一しましょう」
僕よりも一つ早く小泉さんが指摘する。素早いな。
「そうだったのか。雪、いい服は見つかったか?」
原山君が立華さんにそう言えば。静かに首を縦に振る。あまりお喋りが得意じゃないほうなのだろう。
「そういう4人はどこに行ってたのかな?見た感じ買い物って感じでもないし」
「ゲーセンだよ。田中君が誘ってね。で、集まったのが野郎4人さ」
須々木君が渡辺さんにそう答える。
「ほほう。須々木君や田中君はともかく原山君や内山君は意外だなぁ」
「そうか? 俺はゲーム結構好きだぞ。」
「つーくんの家。古いゲーム沢山」
原山君は立華さんにつーくんと呼ばれてるのか。巨体に似合わず随分と可愛らしいニックネームだ。それはそうと原山君の家には古いゲームが多いようで。それこそ80年代のゲームハードもいまだご健在とか。凄い物持ちである。
「内山は今日がゲーセン初めてだったってよ。ゲーム自体もリアルギアって知ってる?姉ちゃんに譲ってもらったのでしかやってないんだって」
「へえ~今時珍しいね。リアルギアって言うと、桜ちゃんも持ってたよね? 確かテイマー・フェレット・オンラインってゲーム」
「ええ。持ってるわね」
「内山もそのゲームだったよな。もしかしたらどっかですれ違ってるかもな」
「あ、うん、そうかもね」
すれ違ってるどころか一緒にチームを組んでるとは。言いにくいな、いまさらかもしれないがゲームの中とは言え男女二人きりで遊んでるのは気恥ずかしく感じる。
「いいなぁ。あー僕もリアルギア欲しい。いっそいまのオンゲーのアイテムをRMTして稼ごうかな」
RMT確かリアルマネートレードといったか。ゲーム内の入手困難なレアアイテムをリアルマネーつまり現金で売買する行為である。別段法律では禁止されていないのでまあいいのだが、未成年がやるというのはいささか不適切な行為だろう。
「須々木やめとけ。未成年がやることじゃない。真面目にバイト探せよ」
原山君が須々木君を制止すれば。わかってるさと言う。諦めてくれるだろうかはわからないが。まあよっぽどの事が起きる事は無いだろう。
「っと。料理が来たぜ。俺たちは先に帰るわ。また連休明けにな。ほんじゃ」
田中君が席を立ち店員にお辞儀をしてから会計に向かう。それと同時に僕や須々木君原山君も一緒に会計に向かう事に。渡辺さん達はまたねと挨拶を返して僕らを見送ってくれた。会計は勿論折半である。
「さてと。次どうする? まあ俺は素寒貧なわけだが。後300円しかねーわ」
と、言いながら近くにあった自販機でコーラを買っている。
「コーラ買って後150円だな。まあ解散でもいいんじゃないかな?」
須々木君がそう言えば。じゃあ解散とでーと軽い雰囲気で解散となった。
帰ってからどうしようか。まあ夕飯まで勉強して早々に寝るとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます