第47話

 昼休憩を終わらせ再びのウォレス。さてと夕飯休憩までにサファードまで到達したい所だな。まだ見えてはいないし少し足を速めたほうがいいかもしれない。


「お待たせコージィ。出発しましょ。今日中には着きたいわね。」

「そうだね。まだ見えてないし足を速めるとするかな。なるべく敵は避ける」

「まあ。こっちの方が断然早いし逃げ切れないという事は無いでしょうね」


そんな計画を立てた後に出発。まあ案の定こちらの方が早い為に追いつかれることはなかったのだが……


「っちょ! 弓は危ないって!? いやぁこっち撃ってきたぁ」

「そういや狼に乗ってた個体もいたな。そら馬に乗る個体がいても可笑しくないな。こっちにも撃ってきたか。きっついなぁ」


 馬に乗ったゴブリン二人組が数体追ってきた。後ろに乗る奴が弓を射かけて攻撃してくる。成長したウマやグラバーゆえに追いつかれることはないが背中から数発貰ってじりじりと消耗させられている。


「どうするのよコージィ!」

「応戦はしない。何度かやってみてわかったと思うけど。騎乗したままじゃ魔法は狙いがつかないし。リーチの短い片手剣じゃ効率が悪い。逃げ切りたいね」

「まだサファードが見えてないってのに。逃げ切れる?」

「さぁ? ま、頑張ってみようよ」

「あんた考えてるのか考えてないのかどっちかにしなさいよ!」

「くち開いてる暇があったら。ウマに指示を出して矢を避けるのに専念したほうがいいんじゃない?」

「きゃぁ! もうやだぁ!」


 この通りてんやわんやである。さすがに何もしないってのは癪だし。やりますかね前に杖を向け白い玉を作製してその場に浮かばせておく。


「サクあれに当たらないように避けて走って」

「何よあれ? お得意の魔法?」

「そんなところ。グラバー、ジャンプ!」


 グラバーは地面を強く蹴って僕の作った玉を壊さないように。跳躍して着地と同時に走り出す。サクの方もうまい具合に玉を壊さないように横を通り抜ける。


「さてと。こんなところかな。ライトボム起動」


 瞬間。背中から小さな破裂音がする。成功したかな? 破裂音が収まった後に後ろを見れば落馬しているゴブリン達が目を覆って蹲っている。よし成功。


「さっきの玉は罠だったのね」

「ライトボム。強烈な光を放つ爆弾を設置する魔法だよ。成功して何より。

まぁダメージはないから今のうちに逃げてしまおう」

「馬はあいつらおいて逃げたみたいだし。大丈夫でしょ」

「次の馬乗りゴブリンがやってくるかもだから。やっぱ早くだよ」

「はいはい。そろそろ見えてきても……あっ! 見えてきたわサファードよ」


 サクが指差す方向には町が見えた。あれがサファードの様だね。ここまで順調。

途中から徒歩以外の手段を手に入れたからかここまでスムーズに来れたな。山道もこの調子で順調に超える事が出来るといいのだが。まずはサファードについてから考えよう。門を潜れば大通りになっており。多くの露店が立ち並び。僕らと同じような装備をした探索者や馬車を牽いているものも見えた。


「やーっと。ここまで来たわね! ここまで来たら後は王都までもう少しよ!」

「そうだね。まあ今から山越えはきついし。ここで宿を取って。来週の日曜日GWの間に王都到着を目標にして行こうか」

「え!? まだ夕飯休憩の後も残ってるし平日も夜の時間があるわよ! それで王都までばばーっと行きましょうよ」

「ダメです」

「なんでよ!」

「そろそろテスト習慣。高校最初のテストをゲームしてたから勉強してませんでしたじゃ先生にも母さんにも示しがつきません。平日はしばらく勉強です」

「気分落とす発言やめてよ……でもまぁ。コージィの言う通りよね」

「まあ。GWと週末は気分転換も兼ねてやろうと思うけど」

「なら私もそうするわ。それじゃあ今日はもう自由行動かしら」

「そうだね。持ってるアイテム売ったり宿をとったり。後は山道の情報を収集もしたりだね。商人さんなら何かしってるかな」

「それこそ掲示板の出番じゃないかしら?」

「掲示板の無機質な答えより人に聞いた情報のが断然面白い」

「変なの。まぁ私は適当にぶらぶらしてくるから。また明日ね」

「うんまた明日ー」


 こうしてサクと僕は分かれることにする。さすがにそろそろ街中でグラバーは奇異の目線が凄いので下りる。ここまでお疲れ様グラバー。見れば強奪のスキルや突撃のスキル鉤爪の他、特殊スキルとして牙を手に入れている。このままもっと強くなって欲しいものだ。さてとまずは山道の地形についてを聞くとしよう。


 聞いてきた結果なのだが。そこまで勾配はきつくないらしい。道幅もあり馬車も余裕で通れるこれは僥倖だグラバーやウマに乗って行けるのは大きなアドバンテージになりうるだろう。怖いのは時折山道のはずれから出てくる魔物とかだ。


 聞いてみた所だが出てくるのは平原でも見かけたグラバーの同種たるウォレスラプトル達。他にも大型の猛禽類やゴブリンよりも一回り大きな人型の魔物ボブリンなんてのも出るようだ。そんなもんだから基本的に商人は傭兵や探索者を雇うようだ。


 更に聞いたところ森の奥にベンガルトラを見たとか噂も出てきた。おいベンガルトラ君はここら辺の敵なのか。もしかしたらあのオオカマキリももっと先で出てくる敵だったのかもしれないな、本当カーレッジがいて助かったなあの時は。


 さてここまで聞いてみて。森の奥を調べたり探索した者がいるかも聞いてみた、答えは誰もいないとの事。探索者は皆してここで準備をしてからは真っ先に王都を目指すから山道はただの通り道扱いで探索者が道を外れて森に入った所を見たことないとの事。これが本当ならまだ遺跡が残ってる可能性もある。メモしておこう。


 さてと聞き込み調査はこんなものかな。山道も決して楽にはいかない事だろう。

しかしそれはいまだに僕が一人で会ったらの場合だ。今の僕にはカーレッジにサクそしてグラバーがついている、なんとかなるさ!

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