第33話
ファウストを発ってから数時間すれば日が落ち始める。さすがに時間が少ないか。
しかしここからファウストに戻りまた明日ここまで来るのも手間だ。
「サクさん。ここでキャンプにしよう。僕が設営と見張り。その間に料理お願い」
「了解。設営は任せたわ」
手早く行動を分担するサクさんの為に先に折り畳み式のテーブルと椅子だけだしてしまえば。手早く料理の準備に入り始めた。僕も設営を始めようといってもインベントリから出すだけの簡単なお仕事。その後は料理ができるまで見張りだ。
たまにテントの近くまで魔物がやってくるがカーレッジに指示を出して撃退する。
とうとう日が落ちてしまったので光魔法を使い光源役もすることに。オイルは有限。
MPを惜しまなくてもいい場面ではこちらがいいと僕は判断した。
カーレッジは光源が無くても他の感覚器官があるのか魔物の撃退の任務を全うしてくれる。やっぱ強いなぁ。
「料理出来たわよ座って食べましょ。見張りはそっちのゴーレムに任せておけば大丈夫でしょうし」
「ゴーレムじゃなくてカーレッジだけどまあいいや。いただきます」
僕の持ってた食材アイテムはウサギの肉と森で取れた香草類ばかり。サクさんはそれと先ほど手に入れた調味料を使って鍋を作っていた。一口すすればウサギ肉のいい出汁が沁みる。更に香草のいい香りが食事の手を進めさせる。牛丼よりも回復量は少ないものの十分な回復量ではある。Gの節約にもなるし食材アイテムを取っておいて正解だったな。
「どう? まずいとか口に合わなかったら食べなくてもいいけど」
「仮想空間ではあるけど母さん以外の女性の手料理が食べられるのは役得だね。
大丈夫とってもおいしいよ」
「それならよかったわ。しかしあのゴーレム本当頑張ってくれてるわね。」
「まぁね。今後も相棒として友達として仲間として旅をしていきたいね」
「魔物のステータスはプレイヤーと違って最初から上下があるとはいえ。あの耐久力は王都への山道レベルの上かもしれないわ。ちょっと羨ましいかも」
「でもずっこいと思われそうだよね。カーレッジをそんなふうに言われたくはないけどさ」
「そうね。ある意味反則級だけどネームドならピーキーなはずよ。決して万能だったり最強ではないはず。それにゴーレムには粉砕属性と打撃属性弱点っていう。メイスやハンマーがもつありふれた属性攻撃の決定的な弱点もあるし。なんだったら剣の横で殴ればそれも打撃属性だしね。弱点で殴られると耐性系のスキルは役立たずなのもきついとこ」
ステータスには確かに打撃属性弱点、粉砕属性弱点がついていた。打撃はわかるが粉砕とはなんぞやである。まあ後で調べることにする。今はそれよりも先に知ってく必要のある情報がサクさんの口からでた。
「ネームド?」
「っそ。人の呼称がついているアイテムや種族名以外の名前を持つ魔物なんかをそう呼ぶわ。出現頻度が低いとか契約条件が厳しめな魔物だったり。アイテムだと再生成もとびきり遅くて手に入れるのは小数名の代物ね。ちなみにプレイヤーの作成したアイテムや契約した魔物もネームドに出来るわ。私が作ったこの鍋だって。一応ネームドになるのよ」
ふむ。試しに鍋に観察をしてみると『サクのウサギ鍋』と出た。
「まぁ。プレイヤーのネームドはプレイヤーのスキルの影響がもろに出るから遺跡のアイテムや野生の魔物なんかのネームドに比べたらいいものを作るのにそれなりの時間がいるわね」
「それもネットの情報かな?」
「っそ。王都だと既に何人かの鍛冶スキル持ちが自分のネームドを売ってたりするわ。性能によるけど最低でも10万Gはくだらないとか」
「っじゅうまん!? そんなに凄いんだねネームドって」
「まあ基本的にはピーキーな能力なのが前提だけどね。そのビル・カーターのコントラクトリングはどんな感じ?」
「えっと。これを装備している限りゴーレムに契約と使役ができる。ゴーレムと契約した時に【友情】ってスキルを取得させる。後は窃盗不可」
友情についても簡単に説明してしまえば。口を開く
「使役はいいわねー。オープンβの時にゴーレムと契約したら使役できなかったって言うのをバグ報告したらそういう仕様だって言い返されたらしいわ。契約状態だと魔物の持つ特殊スキル以外のスキルと一番高いステータスが反映される効果があるから。それ前提で契約する魔物って扱いだったみたい。でも友情はちょっと怖いわね。ゴーレムって決定的な弱点持ってるからそこを突かれてやられると連鎖的にプレイヤーもやられちゃうんじゃないかしら」
「僕もそう思うけど。ビル・カーターさんがカーレッジに見せたかった世界を見せる為にも頑張ってみるよ」
「ちなみにそのゴーレムの性能は?」
「戦闘に使えそうなのは格闘と突撃それに防御や装甲ってスキル。装甲に関しては特殊スキルだね。しかし盾術と防御の違いがわからないな。どっちも同じな気がするなぁ。それにてっきり特殊スキルには星のマークの物しかないと思ってたけど成長する特殊スキルもあるんだね。後物理と魔法半減。それにさっきも言った通り弱点もついてるよ。後は防具の装備不可もある。それ変わりの装甲なのかもね。鈍重ってスキルもある。まああの体で俊敏に動いてたらそれこそずっこいね。後は生産系スキルの運搬、耕作、伐採、収穫がある。」
「普通のゴーレムなら魔法半減は持ってないわ。本当に耐久力ガン振り性能ね。後は防御に関しては素手でダメージを受けた時に上がるのかも。今の私たちじゃ生身で受ける事になるから取得は難しいかもね全身甲冑とかならいけたかも。それに生産系のスキルも持ってなかったはず。戦闘にはあまり出てなくて村の人に親しまれて使われていたという設定だからかしらね。」
あの後。日誌はサクさんに貸してあげている。暇つぶしに読んでいるそうだ。
「まあ世界を見たいならまずは王都への到達ね。先にログアウトしておくわ。またお昼終わりに」
そういうと。設営しておいたテントに入ってログアウトしていった。
時間は後1時間くらいかな。ならギリギリまで魔導書を読み進めるとしよう。
僕はカーレッジに見張りを頼みながら。魔導書を読みふけり。時間になったら一度ログアウトするのであった。カーレッジの話題が出たので最後にカーレッジの能力を見てみる。一応ここまでの戦いでスキルが伸びているものもある。ビル・カーターさんとの生活が垣間見えるステータスでもある。これからも頑張ってもらいたいものだ。
【名前】
カーレッジ(ゴーレム)
【契約者】
コージィ
【ステータス】
HP:5490
MP:0
筋力:198
生命:449
器用:196
敏捷:30
知性:0
精神:0
魅力:10
幸運:0
【習得スキル】
格闘9/突撃8/防御28/運搬19/耕作15/収穫13/伐採17
【特殊スキル】
装甲:10 鈍重:☆ 防具装備不可:☆
友情:☆ 物理攻撃半減:☆ 魔法攻撃半減:☆
粉砕属性弱点:☆ 打撃属性弱点:☆
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