第29話
チームを組むとは複数人で遊ぶためのこのゲームのシステムの一つだ。
一つのゲームに多人数で参加しているこのジャンルゆえのシステムだと思う。
しかし、彼女、サクさんとチームを組むか………
「えっと、その提案はとても魅力的だけど、ごめん、今は無理かな」
昨夜のあの男にフィールドで覚えておけと言われたことを話す。
きっと、チームを組めばトラブルに巻き込んでしまうだろう。
「なによそれ? あなたもあなたで挑発したり説教なんてしないで逃げちゃえばよかったのに、でもそういう事ならなおさらチームを組ませて欲しいわ、それであなたが不利益を被った時は私のせいでしょうからね」
彼女は僕の話が終わっても、自らの意見を変えることはなかった。
「………わかった、チームを組もう、ここで押し問答をするのは不毛だ、幸いにしてフィールドに出ない限り襲撃はない、その前に出来うる限りの対策を練ってから外に出るとしよう」
「ええ、よろしく! チームの申請はそっちから出してくれるかしら、スキルのレベルはそっちが上だしね」
「えぇ……スキルが高いと言っても、僕はゲームはこれが初めての初心者だよ、僕に出来るのかな?」
「大丈夫よ何かあったらフォローするしトラブル抱え込んでるしばらくのうちはチームと言っても二人でしょうし、その間に慣れればいいわよ、ほら早く」
「りょーかい、えっとこれかな? まずはフレンド登録が必要みたいだからそれから送るよ」
手早く、フレンド申請と登録、チーム発足を行う、チーム名か………。
「チーム名?いつでも変更できるし、適当でいいんじゃないかしら?」
気取った名前を使うのも気が引けるが、何が目的かを表すのがいいよね
「まぁ、チーム名は『searcher』とでもしようか」
「探索者、まんまね、わかりやすくて気に入ったわ」
「それじゃ、チーム名も決まったことだし、作戦会議と行こうか、ここは人が多い、僕の借りている部屋で構わないかな?そっちで話すとしよう」
「りょーかい、といっても、あまり対策を練ろうとしてもそこまで練れないんじゃないかしら?」
そう言いながらもついてくるサクさん、確かに今、僕らに出来ることは少ない。
それでも、何も考えないよりかは幾分かましだ、考えすぎるのは僕の悪癖でもあると同時に特技だ、時間さえ許すならいくらでも考えてみるさ。
「さてと、僕達の最優先目標は勿論、王都への到達だ」
大きな羊皮紙を一枚広げて、その端っこに僕たちを意味する白い石を置いておく。
「王都への道に何があるか、知ってる?サクさん」
「えっと、大きな町が二つ、それと幾つかの農村が点在してるって感じらしいわ、二つ目の町がセルカンド、三つ目がサファード、というか、コージィはネットの情報掲示板とか攻略掲示板は見てないの?先に王都に到達してるのが書き込んでるわよ、クローズドβ時代からの強豪クランの『先行者』だとか。それと同じ規模のクランで、到達してるのは『黒鉄同盟』や『絢姫を守り隊』とかかしら、ほかにもクランじゃないけど、チームで踏破したって人もいたわよ。全プレイヤーが弓スキル所持、和弓使いのもーりんさん率いる『六本の矢』プレイヤー内、最強敏捷を持ったぺんぺんさんが率いる『虎奇組』でもやっぱ『紅蓮傭兵団』ね、王都最速を先行者さえだしぬいて成功させた唯一のチーム、リーダーはオープンβからのプレイヤーのファングさん」
ふむふむ、町が二つどうつながってるかも効かないとな、地図はまだ何も書かないでおいてっと。掲示板という手があったなそのうち拝見するとしよう、しかしなんだ姉よ、この世界では随分と人気者の様だ、そして最速達成したのか、通話越しで後で祝いの言葉でも送るとしよう。
ああ、ちなみにクランとは6人以上で協力関係を組む場合において起こすことが可能な機能だ、チームは原則6名という制限はあるが、クランにはそれがない。クランのメリットとしてはやはり人が集まれば物も集まるし特別に強い人もいる、そういった人からアイテムを融通してもらったり、アドバイスを受けたりできる、らしい。らしいとぼかしてるのは全部、姉に聞いた話だからである、今後も何か追加要素が追加されるかもなので、これだけがメリットじゃないという事になるとか。
デメリットとしてはやはり、クランによってはリアルのように規律が厳しかったりするところもあるようで、行動の制限を受けたりすることもあるとか。
「おうけい、攻略サイトなんかは後で見るよ、それじゃぁ、次は道や街についての情報は何かないかな?」
「そうね道についてはこっからセルカンドやサファード、各地の農村の間には街道が通ってるって、外れさえしなければ迷う事は無いわね、町についてはセルカンドは農業都市サファードは交易都市みたいよ、セルカンドの東側の山から河が流れてるらしくて、町の中にも大小あるけど流れてるみたい、それを使っての農業がここら辺の主要産業、サファードはそのセカンドルで取れた農作物なんかを一度まとめて、それを王都へと運搬する街みたいよ」
ふむふむ、農業か、確か米が主要だったか、小麦とかの情報は無かったのかな?
問いただしても無し、まあ、最速目指すうえでその情報はいらないものな。
「じゃあ、次は街の間に要所は何かないかな?」
「そうね、大きなところで、サファードとセカンドルの間にはでかい河があるわ、そこに架かってる橋がラストル大橋っていうの、流れも速い、川幅もあるから落ちたらひとたまりもない、後はサファードと王都の間の山道ね、飛行モンスターがいるから飛び道具必須みたい、後はサファードの隣に森があるけど、β時代ははずれだったから軽視されてるみたい、だから調べてみたのは数名のみ、その誰もが成果なし」
中々ハードな旅になりそうだな、おおまかな地図を完成させていく、まぁ不備だらけだしお粗末だがないよかましだ。
「へぇ、話だけでも案外とまとまるものね、他に聞きたい事はある? 掲示板の内容だけどね」
「こんな略式の地図でもないよかましだ、測量ができれば問題ないんだけど、そんなの一般人に求めらても困る、さて徒歩で2週間か、セカンドルまではいくつとか細かいところまでわかる?」
「えっと、虎奇組が夜を徹して全力疾走で1日でついたみたい、これが最速でしょうね、まあ普通に考えれば魔物との戦闘での消耗とかも考えて野宿したりするだろうから、そうね2日でいければ優、3日で良、それ以上で凡かな」
「僕もそう思う更に言えば、トラブル抱え込んでるやらで進むのに遅れが生じる可能性は十分にあるから王都到達までになんだかんだで2週間どころじゃないかもね、まぁ、サクさんのスキルレベルをあげながらのんびり進みたいね」
「ねぇ、そのサクさんってやめてくれない?なんかむず痒いわ」
「え?でも、女の子を呼び捨てってした事無くって、どうすればいいのか」
「どうするもこうするも普通にサクでいいじゃない、これからしばらくは一緒に過ごすのに、変なところで丁寧にならないでよ」
「あ、うん、わ、わかったよ、えっと、サク………さん、やっぱ無理」
「はぁ、ま、それはおいおいでいいわ、他に聞きたい事は?」
「最後にサクさんの能力教えてくれる? 契約してる魔物とかも、僕も教えるからさ、後、今日はここまででいいかな? そろそろ夕飯なんだ」
「ええ、構わないわ、契約してる魔物はいないわね、丁度良かったわ私も夕飯なの、夜はどうする?」
「今日は僕はこの後はログインはしないつもりだよ」
「なら、私も今日はここまでにしておくわ、ウォレスの時間の進み方はちょっと遊びにくいわ、平日は帰ってきてからほとんど夕方と深夜だしね、丁度寝るころに夜があけるのよね」
「ああ、わかるわかる、夜の時間が中々長いんだよね」
「まぁ、それも来週あたり、修正入るっぽいわよ、結構陳情が来たみたい、かくいう私も送った身」
「行動力あるねぇ、どう変わるか、ちょっとだけ期待してみるよ」
「ええ、まぁ、今日はお互いにステータスを見せておしまいにしましょ」
「おっと、そうだったね」
そういって、ステータスを見せてくれた後、僕らはログアウトすることにした。
【プレイヤー名】
サク
【ステータス】
HP:100
MP:100
筋力:89
生命:30
器用:91
敏捷:57
知性:46
精神:26
魅力:13
幸運:10
【習得スキル】
剣術10/体術8/回避8/気配察知5/料理5/軽業3/笑顔1
気合5/
【特殊スキル】
契約と使役の力:☆ 帰還魔法:☆
【契約した魔物】
なし
【主な装備/アイテム/お宝】
武器:青銅の剣
防具:レザープレート/レザーブーツ
装飾品:なし
アイテム:携帯料理道具/テント/椅子/
お宝:なし
G:5000くらい
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