第28話

 ウォレスでの朝日を迎える、リアルだと16時過ぎかな。

アラームをリアル17時になるようセットしておく、夕飯の時間に遅れないようにだ

さてと、後の荷物は御飯だけかな、牛丼の毎日を続けるのには飽き飽きしてきたが、何か対策を練るべきだろうなぁ、とまぁ、のそのそと宿屋の階段を下りて牛丼屋に向かおうとしたときに声を掛けられる、女性の声だった、心なしか、昨夜の声に似てる気がした、振り返るとやはりと言うべきか女性が立っていた。


「どうも、昨日はわざわざ、ありがとうございます」


 女性は綺麗な礼をする、育ちがよさそうだ、服装は初心者プレイヤーの服に僕と同じようにレザープレート、腰に剣を指していることから剣士であることがわかる。

顔は軽く化粧をしているのか、華美ではないが地味と言うわけでもなく、元の顔が良いというのが伺える、特徴的なのは髪の毛で、腰にまで届くかというほどの長髪をしており。その髪は頭の横で結われていた、確かサイドテールといったか、そして一部分にだけピンク色のメッシュを入れているのが目立つ、チャームポイントとでもいうべきか。


「あの?じろじろと見ていますが、私どこかおかしいですか?」


 じろじろと眺めるのをやめて、ようやく返事を返す


「ああ、すみません、昨夜の事でしたね、まあ好きでやっただけですから、昨日は大変でしたね、あの後、本当のご友人には会えました?」

「いえ、友人と言うのはナンパ男への適当な口実でしたので、そろそろ敬語やめてもいい?疲れてきたわ」

「ええ、構いませんよ、ゲームの中まで丁寧な喋り方はするのは大変でしょう構いませんよ」

「そう?ありがと、あなたも、自分の話しやすいように話してくれて構わないわ」

「そういう事なら、僕も話しやすいように話させてもらうよ」

「歳もそう変わらないでしょうしね、お礼もかねて、朝ごはん驕るわ、宿屋の御飯でしょ?」

「まぁ、そうなるね、お言葉に甘えてご馳走になるよ」


 宿屋で食事のできる席を確保して食事にする。サンドイッチに牛乳だ、女性の方も同じ食事である。


「自己紹介がまだだったよね?僕は『コージィ』君は?」

「私は『サク』よコージィは武器を装備してないわね、魔法?」

「ご名答、風魔法と治癒魔法、最近だと光と毒を会得したね、そういう君は剣を使って戦うのかな?」

「ええ、といっても、初めてまだ数日しか経ってないからそこまで強くないんだけどね、王都までいくのに今月いっぱいかかっちゃいそうだわ」

「王都か、そろそろ行こうと思ってたんだけど、そんな遠い所なの?」

「距離はそうでもないわ、ウォレス時間で馬を使わず2週間ってところかしら、もちろん、馬を使えば早いでしょうね、そこらへんで契約したい所ね、問題は敵なのよ、最低でも戦えるスキルが30はないと、3つ目の町と王都の間の山道に出る魔物に対応できなくて返り討ちでしょうね」


 ふむ、風魔法が30を超えてたな、その事をサクさんに話すと驚いていた。


「なんで、そのレベルで王都に向かってないの?おかしいわよ」

「いやぁ、ここ一週間、あ、リアルのだよ探索してたからね、その時に上がり切ったんだと思う」

「どこに行ってたのよ?ここら辺遺跡とかあったかしら?」

「遺跡ってわけじゃないよ、まぁ、結果的には遺跡を見つけたけど、説明のためにも地図を広げてもいいかな?」


 サクさんに断ってから、羊皮紙に書いた最初の草原とその先の森の地図を広げる。


「これ、あなたの自作?すごいわね、どこの地図よ」

「最初のスタート地点とそっからずっと町から反対にいったところにある森だよ」

「何もないって言われてるはずれの森ね、そこ探索してたの? よくやるわね」

「あはは、でも、収穫はあったよ、廃村を見つけて魔導書とか手に入ったし、僕の習得してる光と毒の魔法は魔導書由来のもの、それが後2つ残ってる」

「へぇ、運がいいわね、ほかにも何か見つけれたの?」

「あとは知性が上げれるスキルを習得できるかもしれない学術書、それといくつか売っちゃったけど骨董品とか、まぁ、最大の目玉はこっちかな」


 5冊の日誌、ご存じビル・カーターの日誌だ、それを地図の上に放ってサクさんに見せてあげる。


「Bill・Carter・Diary、日記ねこれも廃村?」

「まぁね、そしてその日記の主である魔法使いが残した最高傑作がこちら」


 カーレッジが眠るリングを見せる、まぁ見てすぐに何かはわかるわけないが。


「へぇ、年季の入った腕輪ね、かなりの価値があるの?」

「価値はつけれないよ、この中には僕の契約魔物がいてね、ここで出すと騒ぎになるから出せないけど、強いよ」

「ふぅん………ねぇ、あなたって、誰かとチーム組んでたりしてる?」

「いや、入ってないけど、何かな?」

「じゃあさ、私とチームを組みましょう!」

「へ?」


 その、あまりに意外過ぎる提案に僕は間の抜けた声を出してしまうのだった。

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