第16話

 翌日、いつもの日課を終えてログインした僕のやることはテントの撤去からだ。

適当に設営していたため、少し柱をずらしたら、ぺしゃんこになってしまった。

まあ、物には被害もないし、いいのだが、今後は余裕を持って、ログアウトできるようにしよう。草原から森へと進み始める、現在日が出始めたばかりの早朝は敵影は見受けられない、ここがチャンスといった所か。今日中にも森へと入れるくらいには進みたい所。


 時間は刻一刻と回っていく、あれからゴブリン達は襲い掛かってくるが、狼は見受けられない。おそらくだが、狼は夜限定のなんやかんやなのかもしれない。

本来、狼や犬と言うのは夜行性だ、飼っている犬が昼でも起きているのは人間に合わせているからである。そのため、犬は夜でも物音や人の気配に敏感ですぐに起きだせるとの事。まあ、最後の雑学は要らないが、これは好都合だろう。狼よりもゴブリンの方が圧倒的にやりやすいのだから。


 日が暮れ始める、森は随分と大きくなってきた気がする。あと少しだろうさ。

今日はここらでキャンプの設営を始めよう、設営が終わるころには夜だろう、少し時間を見誤った。これでは折角ここまで来たのにファウストの町に戻されてしまう。

戻されてしまえば、おそらく春休み中に森の探索を行うのは強行軍しかなくなる。

 既に春休みは残り4日、ログインできる時間を逆算してみることにする。

この世界の1日のサイクルはリアルの4時間。つまりは1日で6日間のサイクルで動いているようだ、説明書でもそうあったからこれは間違いない

だが、僕にもリアルでの睡眠など生活がある。すべての時間をウォレスでの行動にできるわけではない。日課のジョギングが終わるのが8時ごろ、それからログインした時は確か4時かそこらへんだった。そこから10時くらいまでは昼が続き、10時も中ごろを回ると日が暮れる、丁度今の時間だ。


 11時には完全な夜となり、11時が終わるころに空が白み始める、一日が経過したというところだろう。12時ごろは8時と同じで早朝から午前半ばといった所なのだろう、僕は昼休憩中だが、計算結果が合ってるならそうなるはず。


 そして13時から再開、そこから17時になるまで、ウォレスにログインして行動。

時間にすれば、先ほどとは少々ずれて一晩明かして午前中までという形で一日になるはずだ。そして17時からお風呂や夕飯を済ませる、それが終わると少々中学の復習をする程度で僕は就寝、つまり寝ている。


 残り春休みは5日間、およそウォレスでの行動できる日数は10日間といった所だろう、森への到着がいつかは分からないし。この10日間にも夜は敵に襲われない様にキャンプでの訓練以外は出来ない。実際に探索できる時間は少なくなるだろう。

 ここはひとつ、プレイ時間を少々伸ばすべきだと思う、生活に支障がでない程度にではあるが。

 

 伸ばせるのは、18時以降だ、18時~19時は計算上だと夜から早朝と活動が難しいが、その時間は勉強でもしておこう。そして20~21時にログインすればウォレスは午前中、十分と行動が可能だ。22時にはさすがに寝なければだが。


 しかし、まあ、なんだ、僕はとことんこのゲームにハマってしまっていると自覚する。何せ、ゲームの探索の為に生活サイクルを変えてしまうほどなのだから。

 そう考えを巡らせながらテントの設営は無事終了、キャンプ周辺でひたすらのスキル上げ。深夜を迎えたら就寝、そして空が白み始めたと同時に昼休憩でログアウトするのだった。

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