行き先無き切符
有里 ソルト
序章
泣き声が聞こえる
男勝りで勝ち気な君が、泣いている
真っ直ぐ帰るはずだったのに、ちゃんと返すはずだったのに
縛られた私は、君を慰めることもできない
そう、謝ることだって――
今は無理でも、いつか必ず帰るよ
行き先は君の元
発車時刻は未定
お土産は、君が一番気に入っていたものを
だからそれまで待っていて
最終列車が動くその時まで
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