夫婦で転生した世界を楽しく暮らしたい

空宙機動兵器FSRー13

プロローグ

第1話 人生最期の時

 西暦2100年


 東京のとある病院


 とある二人部屋の窓側のベッドに1人の男が寝ていた。


 窓からは東京の都市がよく見え、地平線上の先には、うっすらと宇宙に伸びる建造物が見えた。


 そのベッドにいる男は寿命を迎えようとしていた。

「おはよう。」


「あ、おじいちゃんが起きたよ~ あはよう。」

 孫が元気よく挨拶してくれた。


「今日は2日で目を覚ましたね、お父さんおはよう。」

 娘も居てくれていた。


「よく眠れましたかお義父さん、おはようございます。」

 と娘の夫も居てくれていた。


 もう自分は長くないな。


「自分もそろそろのようだ。一緒に麻由莉と逝きたかったんだが先に逝ってしまった。」


 隣の空いたベッドにゆっくり顔を向けながら言った。


「あんまり無理しないでね、お父さん。」

 娘が心配そうに手を握ってくれた。


「幸信おじいちゃん、どこに行っちゃうの?」


「天国というところに行くんだよ。」


 娘の夫が孫に説明していた。


「もうこの世に悔いはないんだ。1ヶ月まえにずっと行きたかった軌道エレベーターに乗れて宇宙から見た地球を見れたのだから。」


 太平洋軌道エレベーター、西暦2095年に完成した。日本とハワイの中間にメガフロートで出来た人工島に存在する。


 建造は西暦2065年スタートした。


 日本の国家プロジェクトですべて日本の企業、日本産の部品のみが使われた。


 まずはメガフロート建設から始まり直径10kmの円形状の物だった。


 中心には軌道エレベーター、その回りは商業地区、居住地区、産業地区があった。


 勿論、空港や港も存在する。管轄は日本が行っていて領土扱いになり、排他的経済水域も広がった。


 それに平行して、アメリカやヨーロッパでも軌道エレベーターが建造していった。


  軌道エレベーターの終点は停止軌道上にある、TAIHEIYO ステーション。ショッピングモールや展望台が存在する。


  完成前の事前予約を取っておき西暦2100年に乗れることになっていた。


「あれが最後の麻由莉との旅行だった。綺麗だった。」


「すごかったねおじいちゃん。」

  と孫が喜んではしゃいでいた。


「あ……あ、意識が無くなりそうだ、天国に逝ってくるよ。」


  最後に弱々と手を振った。


  体から力がすっと抜けていく。


「「「・・・・・・」」」


「おじいちゃ~ん。」


「おとぉさ~ん。」


 最後に家族の涙を流しているのが見えた。


 そして体がフワッと浮き上がる感じがした。


 体から魂が離れ、病院を抜け出しどんどん高度が上がっていく。


 最後に雲の上からの東京の景色を見てから視界がモヤモヤしスッと消えた。

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