切断

おれは改めて、自分が置かれている状況下を確認した、おれは今から友人に足を切られる。そう思うと、今にも恐怖で逃げ出したい気持ちだった。だが、Yはその気らしい。おれを本気の目で見つめた。いままでに見たことのない、その鋭い目は、おれの心まで見透かされているようだった。なぜそこまでしてYは、弟を助けたいのだろう。おれは、Yに聞いてみた。しかし、Yにはその言葉すら、耳に届いていなかった。おれは考えることを放棄していた。なぜなら、そのYの目を見た瞬間に、やむを得ず、承諾するしかないと悟ってしまったからだ。するとYは救急車を呼んだらしい。そして心苦しそうな声で、

「ありがとう」との言葉を残して、俺の足を切断した。

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