児童向け読み物「お地蔵様」

@SyakujiiOusin

第1話

          児童向け読み物「お地蔵様」


                             百神井 応身


 お寺の境内や道路の辻などいろんなところで、お地蔵様をみかけることがあります。

 地蔵菩薩が本来居るところは、仏教世界でいうところの兜率天(とそつてん)といわれる高い所にある場所だといわれています。

 地蔵場札は、お釈迦様が死んでしまうと現世に仏が不在となってしまう為、5億7600万年後か56億7000万年後に弥勒菩薩が出現して人々を救うことができるようになる迄の間、お釈迦様の依頼を受けて六道すべての世界(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)に現れて衆生を救うことになった菩薩であるとされているのです。

 どんな所にも自由に行き来できますし、その場その場によって姿を変えて現れるのだといわれています。

 自分のことではなく、人々を救うということがお役目です。

 人々は親しみをこめて、「お地蔵さま」とか「お地蔵さん」と呼びますが、正式にはインド生まれの地蔵菩薩は、サンスクリット語(インドの古典言語)で、クシティ・ガルバというのだそうです。

クシティは「大地」、ガルバは「胎内」という意味があることから「大地の母胎」を意味する漢字に意訳して 地蔵と言われるようになったのだそうです。

 色々なものに姿を変え人々の苦悩を大きな慈悲の心で包み込み救って下さるのですが、妊婦の安産を守護すると言う「子安地蔵」、災難にあった人の苦しみを身代わりになって引き受けてくれる「身代わり地蔵」、集落や村の境界や道の辻を守る「道祖神」としても祀られているので、特に身近な仏像として知られています。

 六道 (地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天道)で生まれ変わりを繰り返し、そこで苦しむ人々を救ってくれると言わている六体並んだお地蔵様を「六地蔵」と呼びますし、生まれる前の水子(中絶、流産、死産してしまった胎児)の供養の役割をするのが水子地蔵です。

 それなのに人間は、どうしても損得でものを考えがちです。損得を考えるのが悪い事だとはいいませんが、どんなことでも行き過ぎると苦しみを生みます。自分の中にいる神様がそれをご存知だから、少しは反省しなさいといっているのかも知れません。

 日本のように長い歴史があって、お互いに助け合って生きてきた国の人々は、いざとなると、自分のことを抜きにしても人様のために尽くそうとする人が大勢現れます。

 日本では当たり前でも、世界の人々は、それを見て驚くのです。

 長い間に培われた文化は、自然に人間性を高めているのですから、それをおろそかにしてはならないのです。

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