第11話

ディオンを探すため、セリーヌが街へとやって来ると、家電屋のテレビから気になるニュースが耳に入った。


それは、会場に害虫が大量発生してコンサートが中止になったというニュースだった。


会場は家電屋からすぐ近くにあり、セリーヌは恐らく、それがディオンの仕業だと察知した。


愛用の箒に跨り、会場付近まで飛ぶ。


低空飛行でディオンの姿を探していると、バーから笑い声が聞こえて来た。


聞き覚えのある声に、急いで駆け付けると、案の定、ディオンがそこにいて酒をあおっている。




「あなた、未成年でしょ!」




「だから、いいんじゃん」




 自身が悪いことをすることでも、ディオンはそれをエネルギーに変換することができる。


セリーヌは、手にしていた箒を逆さまにして、トリガーを引いた。


光弾が発射され、カウンターのボトルに命中。


セリーヌ式、ショットガン魔法である。


商品を割られた店長の負の感情がディオンに流れる。




「あっぶ」




 寸前で、椅子からずれ落ちたディオンは、ほふく前進でそのまま地面を移動する。




「逃がさないわよ」




 銃口をディオンに向けると、突然、姿が消えた。


次の瞬間、カウンターの上に置かれたラジオから声が聞こえてくる。




「外に出なよ」




「……!」




 ディオンは、店内のコンセントから入り込み、電線を通過することができる。


ラジオから今度は表の電光掲示板へと侵入。


ディスプレイに映っていたロックスターからギターをはぎ取ると、めちゃくちゃに演奏を始めた。




「このっ」




 セリーヌがショットガンを引くと、画面が粉々に砕ける。




「ディオン、どこよ!」




「うしろだよ」




 ガラスの破片から飛び出し、持っていたギターで後頭部をぶん殴る。




「い、痛いわねっ!」




「あれ? 殺す気で殴ったのに」




 至近距離からショットガンを放つ。


しかし、ギターではじき返され、セリーヌに命中。


数メートル吹き飛ぶと、その場に悶絶した。




「ぐっ……」




「ギターはもう飽きたな」




 手にしていたギターを投げ捨てると、近くの瓦礫を集めて、セリーヌを生き埋めにした。


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