家族の重要性

 まぁ、知らんが。

 なんでこっちにアプローチしたのかを知りたい。

 兄にアプローチしろよ。

 まじで知らん。


「ドゥ、俺の小太刀をまたうってもらってもいいか?」

「! 喜んで!」


 ちゃんと使っていたら、刃こぼれとかするし、しっかりとメンテナンスを頼んでも定期的に新しいのを作ってもらわなきゃいけない。

 しかし、そうなるとまじでリオンの倉で拾ってそのまま持って帰ったあの魔法を斬れる小太刀は何なんだって話になるよなぁ。

 リオンの倉にあったという事は日本のものである確率が高いのではないだろうか。

 で、日本で本物の刀匠が鍛えたものだったりするものだったならば、それなりにいわくつきである可能性はある。

 なんか英雄が持ってて妖とかを退治した際にそういう特性ついた、みたいな。

 それにしてもあの異常な耐久性は解明できんが。


「刃渡りや、柄の長さなどはいかがなさいますか?」

「俺は別に前のでいいと思ってるんだが、どうだ?」


 同じ小太刀と言えど、長さが一定なわけはなく、元から使ってたものよりは刃渡りが長かったりもしたのだが、その分振るために力がいるため筋トレにはなった。

 そういう意味では別に長くてもいいとは思うのだが……。


「ご主人様が以前から使われていた武器はもう少し短かったり致しませんでしたか?」

「あぁ、あれよりは短かったかな」


 大した差ではないけど。


「では、その長さを正確に教えていただけませんか?」

「いや、別に長くても……」

「いけません!」


 迫真である。


「そもそも、最初にお渡ししたときからわかっておりましたが、ご主人様の戦い方は、小太刀であることを前提としたものです」

「確かに」


 武器という武器は小太刀しか持ったことがない。

 生前(?)の竹刀を除けばだが。

 戦闘に関係するところでは小太刀だけだ。


「よって、体運びなどが小太刀を前提としたものになっておりました。私の作った小太刀を使って頂いている時も初期は少し動きづらそうでしたから、気に病んでいたのです」


 マジか。

 真面目過ぎるだろ。


「いずれご主人様が戻られる際に、戻ってから武器の違いに悩まされるようなことがあってはいけません。よって、正確な長さ、そして重さなども追求したいのです」


 凄い熱意だ。

 ご主人様おれに関することだからってだけでなく、鍛冶に誇りを持っていることがわかる。

 メイドたちこいつらの出自について聞いたことはなかったけど、鍛冶を生業にしている一族だったりしたのかもな。

 だとしたら両親はなぜ娘がメイドなんかにと思っているかもしれない。

 というか、十中八九思っているだろう。

 いずれ親から殴り込みをかけられても不思議ではない。

 というか、リオンの家族以外で家族という家族に会ったことがない気がするが、なぜなんだろうな。

 家族という関係性の重要度がこっちでは低いのかもしれないな。

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