110日目 日常

「さて、やってくれたのぅ」

「そうですか?」

「はぁ……」


一応、報告にきたんですけど、王様もお困りのようで。


「特に、問題は起こっておらんかったんじゃよ。お主らが来るまでは」

「表面に出ていなかっただけですよ」

「国としては表面上出ておらんかったらよしとするのじゃよ」


それはそうでしょうね。

ランガルはいい国です。

国としてまとまっていますし、王様も有能です。

この国の、一番の問題点はエルフとの関係でした。

それも協議を重ねて、住み分けをして、問題が起こらないようにしていたのでしょう。


「でも、いいじゃないですか。もう何も気にしなくていいってことになるんですよ?」

「不本意じゃがな!」


これでエルフとの関係は断絶という形になるでしょうから。

本来なら私がエルフなので身内同士の争いという事になるのでしょうけど。

私が人間側なのは周知の事実なのでそうともならないでしょう。

私があれだけど騒動を引き起こした以上、関わりはなくなるはずです。


「じゃが、お主も良かったのか? あれがまた序列の評価につながらんとは限らんぞ?」

「それはないですよ。王様だってわかっているでしょう」


そもそも、二つ名ダブル持ちならあの程度捌けて然るべきなんです。

少なくとも、私の知っている人達、リブレさん、キラさん、エルメさん、ケインさん、そして王様とルーリアさん、お后様はやれるでしょう。

ルーリアさんとお后様だと周りへの被害が凄いことになってしまいますけど。

出来るという点ではあってると思います。

つまり、二つ名持ちの中でも100人しか入れない序列にその程度のことが反映されるわけがないんです。


ただ、プリンセちゃんには多少影響があるかもですね。

あの二つ名持ちだと思われる長を操っていた人にあそこまで何もさせなかったんですから。


「ふむ、冷静じゃな」

「この程度でそれほど大騒ぎはしないですよ」



「……おかえりー」

「ただいま帰りました」


王城からの帰還後、レインはそのままベッドに倒れ込む。

もちろん、リブレが寝ているベッドである。


「リブレさん、ただいまです」


そして、愛おし気に髪を撫でる。


「これから、どうしましょうか……?」

「……レインちゃんの、すきにすればいいんじゃない……?」


このまま日々を過ごしていくだけであれば、基本的には何もしなくて済みます。

リブレさんのお世話をしながらキラさんに修行をつけてもらうのもいいでしょう。

そもそも、戦うことを前提としなければ安全に過ごしていけます。

エルフという懸念材料もない今、どうすればいいのでしょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る