57日目 検証

「じゃあ、また来るわねー」

「次は、連絡してからでお願いします」


結局、プリンセちゃんのお母様は一晩泊まっていかれました。

一番心にきたのは一緒にお風呂に入った時でしょうか。

女性同士だからと油断していましたが、何なら女性同士の方が圧倒的格差が見えてきついものがありました。

なんであんな大きなものが浮かぶんですかね!

絶対おかしいです!

あんなもの浮かぶはずないでしょう!


「プリンセちゃん、寂しくないですか?」

「……ちょっと? でも、こっちの方が、楽しい」


微笑むプリンセちゃん。

くっ、かわいい!

なんかこの頃可愛さに磨きがかかってる気がしませんか!?

リブレさんが帰ってきたときに強力すぎますよ!



「よぉ!」

「あ、ケインさん」

「おぅ、調子はどうだ?」

「なんか眼帯が変わってますね?」


前は病気用のガーゼみたいなのをつけてたんですけど、今は黒い中二病チックな眼帯になってます。


「前のは柔らかい素材だったからずれてたんだよな! 俺は構わないんだが、ずれて外に見せると周りの奴らが怖がるからな! ハンネに言って作ってもらったんだ!」

「……代償はなんだったんです?」

「まぁ、しっかり目を観察はされたがな! 流石のあいつも適当に触っていいもんではねぇと判断したらしいな! 特に何かするわけでもなく解放されたぞ! わっはっは!」


自慢することでもないですけどね。

あのハンネさんですら迂闊に触れない得体のしれないものを体に住まわせてるってマジでヤバいですけど。


「MPはまだ吸われてるんですか?」

「あぁ、それな。それについて仮説があったから俺は来たわけなんだが」

「?」


仮説?


「いや、俺のMPが減る速さがな。場所によって違う気がするんだよな」


いつになく真剣な口調でケインさんが話してます。


「で、そこらを歩いてみて感じたんだが、どうもこっちに来たら減りが速いみたいなんだよなぁ」

「ケインさんって頭良かったんですか?」


あの街で魚を買っていた時はその検証がてらだったという事ですか。

そんなことできる理知的な人でしたか?


「いや、頭は悪いぞ? 自分で言うのもなんだがな。だからこうやって歩いてみてるんじゃねぇか」


なるほど……?

あれですね。

戦闘の時とかは動きいいですし、頭働いてる感じしますからね。

地頭はいいのでしょう。

ただ、勉強をしてきたようにはお世辞にも見えませんからね。


「それで、成果の方はどうなんです?」

「? いや、だから、ここが一番減るんだって」

「え?」

「MPが減りやすい方に歩いてたら、ここに来たんだよ。なぜかは知らんがな! わっはっは!」


察しは付きますね。

確実に、リブレさんに関係があります。

幻想級ファンタズマルに影響されている者同士で相乗効果のようなものがあるんでしょうか。

それこそ、ハンネさんでもないとわからないのでしょうが、今度聞いてみましょうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る