9日目 反省

「……レインちゃん、やりすぎだったよね……?」

「プリンセちゃんには言われたくないです」

「うーん、どっちもかなぁ」

「「……キラさんにだけは言われたくない」です」


罪の擦り付け合いをしていましたが、キラさんに言われて思わず2人ともツッコまざるを得ませんでした。


「でも、リブレさんとキラさんがいい感じに折り合いをつけて倒していたのがよくわかりました」

「そうだよ。戦いの後に一番困るのは戦後処理だからね」

「ちょっと意味が違う気がしますけど……」


以前、2人が全滅させずに、撤退を許していたのは凄かったのです。

リブレさんとキラさんが組んだら、あれよりも弱い状態の人達なんか簡単に殲滅できていたはずなのです。

でも、2人はあくまで余裕をもって、何もせずに相手の手を潰していくだけでした。

あれはあれで凄い技術が必要なものでしたが、この状況すら見越していたとは。


というのも、プリンセちゃんが相手をしていた人は血まみれで瀕死でしたし、私の闇魔法が当たった人は崩れ落ちたままピクリとも動きませんでした。

あまりの惨状に気を回してくれたキラさんが王様経由でエルフの方に通達してくれて、医療班が到着しなければ危ないところだったようです。


「「「お兄ちゃん……」」」


余計な人たちもついてきましたが。


「あなたたち、あまり近づいちゃだめですよ!?」

「「「なんで?」」」


来たのは攫われててリブレさんに助けられた人たちです。

以前からリブレさんに対する距離感が近かったですが、リブレさんがベッドに寝たきりで動けないのをいいことにべたべたし放題です。


「う……」


純粋な疑問に的確な答えを返せません。


「レイン様」

「様はいりません」

「では、レインさん。良ければ、うちでリブレさんをお預かりすることも出来ますよ? 子供2人だけで世話をするのは大変でしょう」


その子たちの親がリブレさんを預かるとか言ってきました。


「結構です。これでも、自分たちのことは自分で出来ますので」


少し、言葉がきつくなってしまいます。

私がこうして生きるようになったのは、この人たちが私を無視したからです。

以前、謝ってもらったのは忘れていませんが、それを差し引いてもそんなこと言われたくはありません。


「リブレさんの世話は、私がします。他の誰にも譲りません」

「……わたしたち、ね」

「……私たちです」


プリンセちゃんから静かな訂正を受けてしまいました。

確かに、プリンセちゃんには手伝ってもらっていますし、信用も出来ますからね。


「とにかく、リブレさんはここから動かしません。それが最善です」

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