女の自信はダイヤモンド

「たのもー!!」


音として形容しがたい爆音と共にリオンが壁をぶち破ってきた。

うん、わかってたけどね?

わかってたからこそ怖かったというか。

がれきと共に飛んでいく人が見えた気がして気が気でないというか。


「あれー? リブレ? 逃げてるはずじゃなかったー?」

「見ての通り、抵抗された。で、下手に動くよりはこのまま留まったほうがいいと判断したんだ」

「なるほどー……」


そして女の子の方をちらり。


「……なにかひどいことしたのー?」

「してない。神に誓って。あ、アンリさんは嫌だから、ヘスティアさんに誓って。いや、拘束はしたけど、不可抗力だ」


「で、なんでそうなってるのー?」

「俺は一応男だからな。警戒心が先に来て話にならなかったんだ。頼むよ」

「うーん、じゃあ、任せるよー」


リオンはメイドたちに丸投げして回れ右。


「1人で大丈夫か?」

「心配ないよー。こんなの、これの100倍いても負けないからー」


そう言い残して颯爽と自分が開けた穴から外へ出ていった。

応援やら残党やらを片付けに行ったのだ。

まぁ、あっちはいいだろう。



「ご主人様、まずは拘束を」

「そうだな」


チェーン・バインドを解き、床に降ろす。


「私たちは、リブレ様にお仕えするメイドになります。今回はあなたのおられる孤児院の男の子の要請により、あなたを助けに参りました」

「……嘘よ! だってあの目つきの悪い人、私を襲おうとしてたもの!」

「それは誤解でしょう。確かにご主人様は目つきは悪いですが、私たちやリオンさん様にも手を出さずにいるという鋼の意思を持っているお方。言い換えればヘタレとも言えますが、とにかく、ご主人様がそのようなことをされることはありません」

「よし、喧嘩だな? 受けて立つぞこの野郎!」


メイドたちが俺を貶しているのはともかくとして。

彼女たちにあふれているのは{自信}だった。

、と。


そして、そういう主張に女性は敏感である。

メイドたちと自分を見比べ、二の句が継げずにいる。

特に胸を順繰りに視ては親の仇かのような目をしている。

そんなにか。


「納得いただけたところで、安全な場所までお連れしますが、よろしいですか?」

「……わかったわ。一応、あなたたちのことは信じてあげる。でも、あの人は別よ。何もしてないのに偉そうに指示だけして。私の下着を見たのも事実でしょう」


なんか本格的に嫌われた。

俺が颯爽と助けたシーンは気絶してたし、それ以降は自分をぐるぐる巻きにして後は他の人に任せている人だもんな。

確かに嫌われる要素はなくもない。

不本意だが。


「ということですが、ご主人様」

「いかがしましょう」


くるりと振り返ったメイドたちが見てくる。

「ご主人様の格好いいところ見せてください!」って感じのキラキラした目で。


……。

はぁ。

まぁ、脱出のための露払いくらいはしてやるかぁ。

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