顔パスってほんとにあるのかな

「さぁ、いくか」


爆音が響き渡る廊下の方へ出ると、リオンが無双してた。

ゲームとかである無双シリーズと遜色ないレベルで。

ただ、ゲームであれば倒された奴は消えているが、今回は死屍累々である。

倒れた奴の山が出来上がっている。

一番下に埋まってる奴は圧死しないのだろうか。


「よ、リオン。一応、話はついたぞ」

「それはよかったねー。でも、ちょっと待ってねー。すぐに片付けるからー」

「俺も手伝うって」


女の子のことはメイドたちに任せ、俺もリオンと共に並ぶ。


「リブレってけっこう1対1が得意じゃなかったっけー? けっこう人多いけど大丈夫ー?」

「大丈夫だ。なぜか経験済みだからな」


レインのためにエルフ相手に大立ち回りしたのももう凄い昔のように感じるな。

地球からこっちに来て、忙しいが少なくとも退屈はしない。

命の危機は勘弁してほしいが。


だが、とりあえずは。


「お前ら相手じゃその心配もなさそうだ」


周りの奴がリオンに吹っ飛ばされていても愚直に突進してくるだけ。

パワーに自信があり、数で勝っているからこそだとは思うが、リオンの土俵パワーでやりあうのは得策ではないだろう。


「リオン、面倒なのはこっちで処理するぞ」

「おねがいー」


ただ、所々に頭の回る奴がいるようで、毒を塗った武器を携えている奴がいる。

基本的には{殺意}が前面に出ている奴が毒武器を持つ傾向があるため、そいつらはステッド・ファストで隔離したのち、俺が処理していく。

腕の腱を斬ったりして。


それでも打ち漏らしはあるが、俺はそもそも攻撃をくらわないように動いている。

痛いのが嫌だから。

そして、リオンはそんなことは気にしていない。

というか、毒武器とか、そういうのを力づくでねじ伏せられるからこそ、魔王の娘なのだ。


「ふふっ」

「どうした?」


互いに余裕があり、話しながら周りの敵を掃討していく。


「いやー、リブレと一緒に戦うの楽しいなーって思ってー」

「出来ればその楽しさは戦闘以外で得てもらいたいもんだけどな」


俺は別に戦うのが好きなわけではないのだから。



そうこうしているうちに、リオンが最後の一団を吹き飛ばして決着がつく。

最後の1人ではない。

一団である。

具体的に言えば、1ダースくらいの人が飛んでた。


そして、割と町中にあったため、この大騒動で野次馬が周りに詰め掛けている。

憲兵みたいな人達もいるが、どうも人が飛んでいるのを見て突入するのはやめておいたようだ。

賢明な判断だ。


「バ、バンフリオン様!?」

「お疲れー。私たち、この人を助けに来てたんだけどー。事情説明っているー?」

「め、滅相もない! こいつらの残りから聞きますので!」

「そう? じゃあ、お願いねー」


魔王の娘の顔パス凄い。

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