普通の日常が送りたい
「「「絶対にそれだけは看過できません!!」」」
「お、おぉ。すまん」
メイドたちにもう一人メイドを増やすことを相談しに行ったら、予想以上に強い否定をされた。
「ご主人様のお世話をするのは私たちだけの特権なんです!」
「わかった! わかったから! はなれろ!」
ひしっと俺に掴まって主張してくるメイドたちの柔らかい感触を引き剥がしながら考える。
俺も今まで一緒に来てくれているメイドたちの意見を差し置いて他のメイドを雇う気はない。
しかし、そうなるとどうするか。
俺が人を雇うのをあまり好意的に捉えてないのは、現在の俺の立ち位置が関係している。
俺が求人募集を出したら、リオン関係で俺を狙ってる奴の手下とかが来てもおかしくない。
俺ならそうするからな。
むしろつけこむ隙をくれてありがとうって感じだ。
だから、ある程度信頼できるメイドを雇うことを考えたのだが、そこも封じられてしまった。
ほんとにここ数日で絶対に必要とかいうわけではなく、猶予があるのでそう焦らなくてもいいのだが、出来るだけ早く教え始めることに越したことはない。
「行くぞ」
「うむ」
今日も今日とて、俺は深夜にオーシリアとともにでかける。
この頃、俺は夜に不審な動きがないかパトロールに出ているのだ。
この頃、俺がヘイトを買っている奴等の部下達が相次いでここに来ているらしいからな。
もちろん、昼に動いたりもしているのだろうが、夜の方が本格的に動くだろうという予想のもとだ。
ちなみにこの情報はアンリさんからリオン経由で送られてきた。
ちゃんと自分の町のことは把握しているようだ。
なにもしないと行っていたわりに忠告してくれるのはありがたい。
それとも、それ以上はしないという表明か。
まぁ、少なくとも何も知らずに待っているよりは気持ちが楽である。
「どう思う?」
「そうじゃなぁー。前までは別々に主のことを探っておった奴等がまとまりだしたようじゃな? 言いたくはないのじゃが、いくらわしでもあれらが纏まってこられてはしんどいかもしれんぞ?」
「だな」
普段のオーシリアは延々と食事と睡眠をループしているダメ幼女だが、ことこういう話題となると頼りになる。
基本的には俺の意見と一致していることが多いのだが、自分の意見を補強する意味でもかなり役に立つ。
また、俺が何となくでしか把握していないステッド・ファストの固さを明確に把握していたり、シェイド・ハイドの効果の強さとかをわかっている分、それを加味した意見を言ってくれる。
割りと自信家であるオーシリアがこう言うってことは俺を葬り去るために中々な精鋭を送り込んできたのだろう。
本当に殺意が高くてうんざりするな。
家に監視ついてたりするしな。
家を出るのも一苦労となると普通に日常生活が面倒だし。
どうするかなぁ……。
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