決意を見せろ

それから1日過ぎ、2日過ぎ。

何事もなく過ごしていたが、どこかリオンの感情は晴れ晴れとしていた。


「さて、答えを聞かせてくれるというのは今日じゃったよの。バンフリオンよ、どうするのじゃ」


昼食の席でお爺さんがそんなことを言う。

そんな取り決めになっていたのか。

道理で領主が何も言わなかったはずだ。


「うん、リブレにも話を聞いてもらってねー。私なりにこの2日間考えたんだー」

「そのようじゃな。して、結論は?」


促されたリオンは俺にニッコリ笑いかけてから領主に向き直る。


「私は、リブレをお婿さんにしたいと思います」

「おい!?」


しない流れだったじゃん!


「ただ、お爺さんが言っているような方法はとりません」

「ほう?」


興味深そうな声をあげた領主から俺の方へと向き直る。


「リブレには今、彼女がいるんだよね?」

「そうだな」

第六界むこうにいるけど、彼女のことが一番好きだから、私の気持ちには答えられない。これで合ってるかな?」

「概ねな」

「なら、私がするのは簡単な事なんだよー。


ん?


「それなら、私のところに来てくれるでしょ?」

「おい……!?」

「ちょっと前から、気にはなっていたんだよー。リブレが彼女さんの話をしたり、メイドちゃんたちと遊んでるともやもやするものがあってー。前にはなかったのにね? それを確かめるために、この前部屋に行ったんだよー」


「それでわかったんだー。どうやら私は、リブレが他の女の子と仲良くしてるのを見るのがあんまり好きじゃないみたいだってことがね?」


「私としては第二夫人でも、お妾さんでも構わないんだよー。リブレと一緒にいたいから。そのためなら、私の立ち位置なんてどうでもいいんだよー。でも、周りがそれを許してくれないよね?」


静かに首を振っている領主。


「だから、決めたの。リブレに、一番好きになってもらえるように頑張ろうって」


既に決意は固まっている、とリオンの感情が教えてくれる。

こんなことを言うのもなんなのだが。

俺に対する想いを語るリオンは、とても、美しかった。

普段とはまた違って、思わず見入ってしまうほどに。



「んー、ちょっと固くなっちゃったかなー?」


ふとリオンがもとのほんわかした雰囲気に戻る。

さっきまでの神々しい美しさはどこへやら。

まぁ、元から綺麗なんだが、また違った美しさだもんな。


「ふふっ。リブレ、覚悟しててね?」


そうやって俺にいたずら好きそうに笑う。

率直に言って、綺麗すぎた。

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