葛藤は自ら解決するのだ

「な、何かなー?」


俺と領主が話していた部屋にリオンが恐る恐る入ってくる。


「なんか領主様が話があるそうだ」

「こ、心なしか機嫌が悪そうだねー」

「そんなことはないぞ」


と言いつつもまぁ機嫌は悪い。

なんせ強制的に浮気させられようとしてるんだ。


「バンフリオンよ」

「なんでしょう?」

「お主、身を固める気はあるかの?」


「?」という顔をしたリオンだが、すぐに察したようでこちらを見て顔を赤くする。


「私はまだそんなつもりは……」

「しかし、周りは放ってはおかんじゃろう?」

「……」


ついこの間も求婚されたばっかだしな。

2回も。

どちらもろくでもない極みではあったが。


「思い当たる節があるようじゃが、どうも良い縁談ではなかったようじゃな?」


それは否定できない。


「しかし、そこの若者には気を許している様子。わしが隠れているのにも真っ先に気づいたようじゃし、実力もそれなりに保証できるじゃろう。アンリがこやつを殺してないのじゃからある程度あやつもこやつを認めておるのじゃろうしな」

「そんなこと言っても……。私は……」

「憎からず思っておるのじゃろう? わしはお主を昔から見てきたが、お主があのように甘える姿などアンリにでさえ見せたことはなかったじゃろう」


「少し、考えさせてください……」


とりあえずその場はお開きとなった。

第七界このせかいのことを考えれば、確かにリオンが身を固め、周りの奴らに付け入る隙を与えないというのはわかる。

だが、俺にもレイン彼女がいる。



「リブレ、いいかな……?」


それぞれ部屋を用意してもらい、食事などもご馳走になったのだが、今回は楽しい食卓とはならなかった。

メイド3人衆がここの従者たちの仕事を奪って俺に甲斐甲斐しく世話してくれたのはいつも通りだったのだが、リオンがずっと考え込んでいたのだ。

{葛藤}はずっと視えていたのだが、俺にはどうにもできない。

というか、俺が助言などしていいものではない。

ということで放っておいたのだが。


「おぅ、入ってくれ」


リオンの中で何かしら結論が出たらしい。

俺の部屋に訪れたのだ。


「し、失礼しまーす……」

「おいっ!?」

「私だって恥ずかしいんだよ……?」


向こうで用意された薄いピンクのネグリジェ姿だったのだ。

艶のある黒い肌にピンク色のネグリジェ。

アニメでしか見たことのない組み合わせだ。

いやー、画面内でしか見たことなかったのにそれでえっちかったのに。

生だとこんなに凄いのか。

あ、ヤバい。

たっちゃってたてなくなっちゃう。


寝っ転がっていた俺が起き上がっているベッドにリオンがストンと座る。

そのまま俺に体を預けてきた。

俺がリオンを後ろからハグしているかのような状況である。

鋼の意思で視線を目の前に向け続ける俺。

なにしろ、視線を落とせばそこには夢にも見れないような光景が広がっていることが予想される。

さらに言えば、着衣が緩んで隙が大きくなっていることも。


がんばれ俺……!

見たら理性がもたんぞ……!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る