年の功は馬鹿にできない
「な、な、な、なんでそんなこと言うの? ただの従者に、そ、そ、そんなこと思うわけないじゃない」
動揺しすぎだ。
だが、ここはリオンに頑張って貰うしかない。
ここで俺が「主に対して従者と恋愛関係にあるなどと言うのは何事か」という趣旨の文句を言うというのも1つの手だろう。
しかし、相手もかなりの上位者であるため、俺が口を出すのは明らかにおかしい。
よって、だんまりだ。
「ね、ねぇ、リブレも、そう思うよねぇ?」
そんなことを考えていた矢先に話をふられる。
うん、俺が小難しく考えてたのなんか1ピコも役に立たなかったな。
だが、まだどうにか方向転換出来ないかとまだだんまりを続ける。
「なんで何も言ってくれないのー!?」
だがそれももはやパニック状態のリオンが抱きついてきたことにより中止せざるを得ない。
はぁ。
「リオン。俺にもちゃんと上司として接しろって言ったよな?」
「だってぇー……」
ぐずつきだすリオン。
どうした?
気を張ってた代償に幼児退行起こしてないか?
「ほらほら、もうやっちゃったもんは仕方ないから、切り替えてな」
「うん……!」
頭を撫でながらあやすと、顔を明るくして見上げてくる。
いや、そのアングルヤバイって!
感触があって意識せざるを得なかった部分を真上から覗き込む形になってるって!
密着してるからギリ放送可能だが、谷間ぁ!
あ、語彙力が限界を迎えた。
結局谷間をガン見してから鋼の意思力で顔をあげると、興味深そうにこちらを見ているお爺さんの姿があった。
バサッ。
フードをとりながら口を開く。
「挨拶が遅れて申し訳ないです。俺はリブレ。一応、この旅の同行者としてリオンと一緒に行動しているものです。関係としては対等ですが、特に恋愛関係にあるというわけではないのでご理解を。そうですね、友達といったところでしょうか」
「ふむ、
俺が重点を置いた単語を汲み取ってくれるお爺さん。
年の功というやつかな。
更に、俺の肌の色についてもなんの動揺も示さない。
感情は凪いでおり、あくまで俺個人への興味に注がれている。
本当にこういうところが化け物なんだよな。
器の広さというか。
俺なら動揺しまくって詮索しまくってるね。
「そんな感じだから、あまり気にしないでくれ」
「ふむ。強い、という印象は受けんが、なんと言えばよいのかの。負けに臆病、といった感じかの」
その表現に俺は苦笑するしかない。
確かに俺は勝とうと思って戦っているときはないかもな。
何かを失うのが怖いから。
自分を否定されるのがもう嫌だから。
戦っているだけかもしれない。
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