衝撃の初対面

「ここかぁー!!」


突入してきたのは大人のエルフ2人。

男女組だった。


うん、どした?


「お前らか。ここに来るとはいい度胸だな」


アンリさんは知ってたっぽい。


「どちら様?」


アンリさんに説明を求めた俺だが、その声を聞いて2人の首がグリンとこちらを向く。


こっわ!

え、俺?

俺なんかしたっけ?

死んでなお恨まれるようなことはしてないと思うけどな。


……。


いや、長の息子とあの少年はワンチャンあるかもしれない。


だが、そのいずれも死んでないし、ましてや女性でもない。

となると俺にはなんの落ち度もないはずだけど。


「お前か!」


ツカツカと近寄ってきた2人に気圧され、俺はリオンの後ろに隠れる。

ちなみにだが、ここの床は畳のため、ツカツカというのはイメージの話だ。



リオンの前まで来た2人は勢いそのままに華麗に土下座をした。


「「どうもありがとう!!」」

「は?」


思わず「は?」とか言ってしまった。

見るからに年上なのに。


俺には思い当たる節が無さすぎるのでリオンに視線で確認するが、首をフルフルと横にふる。

それを確認する際に胸に視線がいってしまったのは許してほしい。

本能なんだ。

間近に揺れるたわわに実ったものがあれば見ずにはいられないのだ。


幸い、頭を下げていたエルフ2人には気付かれていないっぽいのが救いだ。


「えっと、俺ですか?」


初対面なので弱気な俺。

ここはどうやってももう治らないな。


「その通りです。私たちの至らなかった点を補ってくれたようで」

「???」


疑問符しかない。

マジでなんの話だ?


「えっと、俺たち初対面ですよね?」


レイン以外のエルフとか極限まで関わってない。

いくら外国人を顔で見分けるのが難しいといっても、絶対数が少なければ間違えようがないからな。


「そうなります。私たちはこちらから時々様子を見させてもらっていましたが」

「ふーん?」


アンリさんを見やる俺。

俺から目をそらすアンリさん。


ふむ、なるほど。


「レインのご両親?」

「流石の察しのよさですね」


お母さんが深く頷く。


俺の予想が当たってしまった。

いや、待てよ。


「アンリさん」

「おぉ」

「レインのご両親ってかなり前になくなっているはずなんだけど?」


いわゆる天国にいくなら第一界にいるはずだ。

地獄だとしてもここであってここではない本当にヤバいところにいるはずだ。

さっきの口調からして面識はある様子。

ということは。


「アンリさんの一存でここにいるのか?」

「いや、違うんだ聞いてくれ」


アンリさんが神妙な顔になる。


「こいつらが暴れると大変なんだ」

「アンリさんですら!?」


アンリさんは1つの世界を持つ歴とした神だ。

それが大変と言うとなるとヤバいぞ。


「私たちも娘のことが心配でね。無理を言ってここに留まらせて貰っているんだ」

「暴れるとか言ってた気がしますけど」

「それは、ほら。言葉のあやというものだよ」


うん、絶対なんかやってるね。

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