ダラダラこそ至高

俺がソファーにちゃんと座りなおすと、レインが俺の横に、プリンセは俺の膝の上に乗ってくる。

もう固定されてるな、位置が。

本来ならもう1人オーシリアが俺の背中に引っ付いてるはずなのだが、今は無限に出てくるお菓子に夢中でそれどころではない。

というか、お菓子のあの質量はあの体のどこに消えていってるんだ?

いや、その話をするならまずはなぜ杖が食事するのかから始めなきゃいけないのか。

やめとこう。


「あ、すみません。僕も紅茶貰っていいですか?」

「……甘めがいい」

「俺は普通にストレートで」

「もっと菓子はないかの?」


うん、図々しいのは全員だったわ。

ただし、このメイドさん。

ルーリアの世話を1人で任されるだけあって超有能。

頼めば大体のものは出てくる。

どこからかはわからないけど。

四次元ポケットでも持ってるのだろうか。


「もうなにもすることないですよね?」

「一応はな。人が足りないから、荷物まとめたり運んだりするのは手伝わないといけないだろうけど、それ以外は何もないと思うぞ」

「……ダラダラしよう」

「(もぐもぐ)」


ダラダラするっていう予定が一番贅沢だと思うのは俺だけかな。

仮にディズニーランドに行くっていう予定があるとして、もちろん遊ぶのも贅沢なのだが、ディズニーランドのホテルでダラダラするのが一番贅沢だろう。

正しいかどうかは別だけど。

何もせず、ボーっとする時間は誰しも持った方がいいものらしいし。



「そういや、ルーリアっていつ寝てるの?」

「そうですわね……。大抵は22時から7時といったところでしょうか」


黄金の9時間睡眠。


「今回、戦うのは真夜中だぞ。起きていられるのか?」

「そ、そのくらい平気ですわ! 恐らく……」


後半声ちっさくなったぞ。


「大事な広範囲火力なんだからな。しっかりしてもらわないと困るぞ」


今回の相手のサイズとかは知らないしな。

仮にでかかった場合、相手の全体を攻撃範囲に捉えられるルーリアは大きな存在になる。

マレイユさんもそのくらいは期待できるんだけど、自分にすらどんな規模の攻撃になるのかわからないというあり得ないほどの欠陥を持ってるからな。

あんまり頼りにしたくないところである。

だから、規格外というのがわかりきっているルーリアを頼りにしたいところではある。


「俺たちも今日から生活リズムを夜に合わせておいた方がいいかもな」

「確かに、そうですよね。眠たくなって動けなくなるとか、笑えないですし」

「今は昼だし、帰って1回寝て、夜になったら起きるか」

「そうしましょう」


そんなこんなで帰って寝ようとしたものの。


「暑い……」


季節は夏に近づいており、昼に寝るのはきつい季節になってきた。


「あ、これで大丈夫なんじゃないですか?」


レインが水魔法で作ったミストを含んだ風魔法をベッドに送る。

扇風機の水を少し含んだバージョンってところだ。


「涼しっ!」


元々、日本の夏が異常なのだ。

本来ならこの程度の工夫でどうにかなるものなのだが。

つくづく日本はおかしかったと再認識させられるな。

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