誤解を解くのは一苦労

「いや、趣味って何!?」


この状況のこと!?


「いえ、人はみなそれぞれですわ……。幼女に踏まれるのが好きな方も……」

「いねぇよ! いや、いるかもしれないけど少なくとも俺は違うわ!」


起きられない体ながら必死に叫ぶ俺。


「では、何をしていらっしゃるので……」


事情を説明し、マッサージをしてもらっている旨を伝える。


「早くそう言って頂ければわたくしもあのような勘違いは致しませんでしたのに……」

「何も言ってないのにいきなり勘違いされてる状態からスタートだったよな!?」


そういや、こいつはすぐに勘違いする気質だったんだ。

忘れてた。

世の中にはいるんだろうな、幼女に踏まれるのが好きな人。


「まぁ、そういうことであれば、この部屋は自由に使っていいと言っておりますし、構いませんが……」


ルーリアが向かいの1人用のソファーに座ってメイドさんから紅茶を受け取る。

彼女は再三避難を勧めたにも関わらず、お世話を放り出すなら死ぬと言って聞かなかったそうだ。

癖が強い。



バン!


やっと落ち着いたと思った矢先。

またドアの方で大きな音がする。


「まさか、リブレさんがそこまで変態さんだったなんて……」

「お前もかー!」


仕事を終えたレインだった。


「冗談ですよ」

「あ、あぁ。流石にか」


心臓に悪い。


「リブレさんがその程度で満足する人だとは思ってませんから」

「めちゃくちゃ悪い方向に取られてるよね!?」


その程度ってなに!?

幼女に踏まれるってそういう意味ではけっこうレベル高くない!?


このやり取りの間にも楽しそうにふみふみし続ける2人。

なんというメンタル。


「とにかく、これはマッサージだから。俺が踏まれたいとか思ってるわけじゃないから」

「とりあえず、そういうことにしておきましょうか」


どう弁解すればいいんだこれ……。



「もう皆さんは休息ということでいいですよね?」

「そうなるな。戦う地点までは移動もあるし、実質2日か3日くらいしか休めないだろうが、コンディションを整えてもらおう」


俺たちもだけどな。

なんだかんだ働きづめだし。


「ルーリアはどうするんだ?」

「わたくしももうやることはございませんわ。戦うのも後ろの方でということになりそうですし。国民が避難してからというもの、わたくしたちはやることがなくてずっと休憩していたようなものですから、コンディションの方は既に万全なのですけれどもね」


そう言って優雅に紅茶のカップを口に運ぶルーリア。

うーん、絵になるなぁ。


「……このくらい?」

「あぁ、だいぶ楽になった。ありがとう」


若干回復した体を起こし、肩とかをぐるぐる回す。

うん、さっきより動くな。

これなら日常生活は問題なさそうだ。


「む、もう終わりかの?」

「あぁ、十分だ。ありがとな」

「このくらいならお安い御用じゃ」


マッサージを終えたオーシリアはまたお菓子を食べる作業に戻った。

メイドさんに言って他の種類のものも持ってきてもらっている。

なんという図々しさ。

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