KA・WA・I・Iは正義

「モフモフだー!」

「モフモフですね!」


以前よりもっとモフモフになったプリンセに大興奮の俺とレイン。

KA・WA・I・Iは世界共通、万人共通なのだ。


「……んゅ、くすぐったいよー……」

「そんなこと言われても、なぁ?」

「そうですね。撫でるのをやめることは出来ませんね」


モフモフモフモフ。

さわさわさわさわ。


「……んゅー……」


まぁ、流石に俺たちも不躾に触ってはいないので、プリンセも不満気ではないのだが、やっぱりこの手は止められない。

なんたってふわっふわなのだ。

ドライヤー1つでここまで変わるとは。

文明の利器恐るべし。

この世界では文明によるものじゃない気がするけど。

いや、魔法文明の産物だから合ってるのか?



「……もう、寝ない?」

「はっ、そうか。もうそんな時間か」

「時間が一瞬で過ぎますね」


何かを愛でている時、時間は一瞬で過ぎゆくものだ。

まぁ、愛でているとかに関わらず、楽しければ時間が短いように感じるものだけれども。

それだけ、時間を意識することがないくらい夢中になってたってことだな。


「……んー……」


延々と俺たちに撫でられ続けていたプリンセは頭がフラフラしてる。

そんなに眠いのか。


「よし、今日やることは全部やったし、寝るか」

「そうですね。明日からも働かないといけないわけですし」


それを言われると気が重い。

ニートとして生きていきたいと実に強く思う。



翌日。


「リブレさーん、起きて下さーい」

「あと5分……」

「ダメでーす」


お決まりのやり取りが交わされ、もはや俺が掛け布団を剥がされるところまでお馴染みになってきた。

まぁ、様式美みたいなものだな。



「さて、今日もやるとしますか?」

「「よろしくお願いします!」」

「チーム分けは先に済ませてあるから、すぐに始められるよ」

「助かる。じゃあ、さっそくやっていこうか」


2日目、3日目とやっていくうち、みんなの動きは良くなっていった。

兵士の人たちはともかく、冒険者の方々は基本、訓練などはしないらしい。

つまり、どう動けばいいのかなどをシュミレーションする機会がなかったのだ。

しかし、実戦感があるため、順応はまぁまぁ早い。


問題は兵士の皆さんだ。

確かに練度は高い。

理解も早いのだが、如何せん実行できない。

決められたことしかできない、の代表例のような感じだ。

現代の若者が兵役についたとして、こんな感じになってしまうのだろうか。

いや、俺が言えた義理でもないんですけど。

現代の若者の負の結晶みたいな生活してましたし。


時間もない中、あまり難しいことをさせるのも良くない。

ただ、1日に1戦というのはちょうど良かったらしく、意見のすり合わせにより作戦自体は向上している。

周りの土とかを使った方が効果が高いというのは皆が共有したし、邪魔をする係と逃げる係に分かれたりする。

チームである以上、そういった役割分担というのは大切なことも多い。

全員が全部できるに越したことはないけど。

そんなの人間には無理だから。


「……僕は?」

「キラは人間ではないから」


別の何かだ。

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